スペイン料理とアフリカの関係

Masaquito2005-08-15

今日は日本だと終戦記念日。こっちのテレビでも小泉首相の演説が流れていたが、スペインは今日は祝日。

タカシ君が昨夜、「たぶん」と前置きしてそんなことをいっていたような気がするが、おいらはそんなこと全く知らず・・・。

今に行くとManoloがいた。午後の仕事はないようだ。ソファーに座ると、Santi登場。

お「あれ???Santi!なんでいまいるの?今起きたの?仕事は?」
M「正樹・・・今日は祝日だ・・・」
お「え〜〜!!??誰の日?」(スペインの祝日は聖人、聖女に関することが多い)
M「Virgenだ」(ヴィルヘン:バージン:聖女)
お「どのVirgenよ?」
S「・・・・都市に寄って違うVirgenだ(笑)」
お「???」
S「今日はスペイン全土が祝日だ。いうたら、Virgenの日だ。誰ということではない」
お「・・・・わかったような・・・わかんないような・・・まぁいいや」

そんなことより、約一ヶ月ぶりにSantiと顔を合わしたことの方が驚きであり、喜ばしいできごとであった。

かつては、つねに4人で一緒に・・・または仕事が夜遅くまであるMi Kyungをのぞいた3人でいたが、Santiが世界を股にかけるビジネスマンとなってからは、基本的にManoloとの生活になっていた。おいらはおいらで、通い婚BodegaやRicoricを利用するようになってからは、家で夕食を食べることも少なくなったりして、かつては家族と称されていたうちら4人は、以前ほど密接な関係になくなっていた。

あまりにも行動範囲と時間が違いすぎたのだ。

ポルトガルから帰ってきて、久しぶり(3週間ぶりに)にEEUU(アメリカ)から帰ったSantiにあえると思ったら、Valenciaには一週間もおらずにAlemania(ドイツ)に行ってしまったとManolo。

で、ようやく昨日の朝、帰ってきたというわけだ。

夕方・・・自分の休暇を利用したボランティアの仕事でMoixenに2週間いっていたMi Kyungも帰ってきた。(数少ない休暇を使ってまでボランティアをするMi Kyungって本当にすごいと思う。尊敬に値する。)

久しぶりに家族四人が集結したというわけだ。

ル〜ル〜〜ルルルルルル〜♪ 「太陽の国から 2005 再会」って感じだ。

おいらも、仕事が滞っているので、今日は一日中家にいるつもりで、PCの前でひたすら原稿を書いていた。

8時頃、Manoloがやってきて

M「正樹・・・今日は家で飯食うか?」
お「うん・・・今日は家で食べるよ」
M「OK!」

今日のManoloは午後の仕事が祝日のためお休みらだからか、4人が久しぶりに集まったからなのか、なにやら機嫌が良い様子。

せっかくだからおいらも手伝おうとキッチンへ足を運ぶ。

M「何か手伝いたいのか?」
お「うん」
M「じゃ、そのレモンを全部絞ってくれ」
お「これ全部?3つ???」
M「そう」
お「何作るの?」
M「今日はオレが肉料理を作るんだ!!

Manoloは言わずと知れた、半分Vegitariano(ベジタリアン)。旅行中とかにTipicoの肉とかは食べるが、普段は肉を食べない。良い肉しか食べないという何ともPijoなVegitarianoなのだが・・・。

お「Manoloが肉料理??珍しい!」
M「今日作るのはアラブ料理だ。正樹は食べたことない味かもしれない。」
お「どうだろうね〜(東京は何でも食えるからね〜)」
M「この料理はValenciaではあまり見ないけど、場所によっては良く食べる料理だ。北アフリカの方から入ってきてる。」
お「なんて名前の料理?」
M「タヒンだ。スペイン語だとタヒンだが、他だとタジンだ。」
お「タジンか・・・・」

タヒンはTajinと書く。スペインではJは空気を抜けさせるハ行になる。たとえば、Japon(日本)はハポンとなるわけだが、うちらが読んだら、ジャポンになるので、タヒンはタジンとなる。


スペイン料理は、スパイス等を含めて、歴史的な関係も含めて、北アフリカやアラブの料理の影響を色濃く受けている。Andaluciaに住んだことはないが、あっちはもっと食卓の料理が影響を受けているのではないだろうかと思う。

続に頭が「Al」で始まる単語は、アラブからやってきた単語と言われている。建築物になってしまうが、AlhambraやAlcazarはもとより、Arroz(Alで始まらないが、ar-ruzがそうなった)とかもそうだし、地名でも頭にAlがついているものは、レコンキスタ前につけられた名前の名残が多い。この辺は語り始めたらキリがないのでやめておくが、調べれば調べるほど、スペインが約700年のイスラム支配の中でどれほど、アラブの影響を受けたかをうかがい知ることができるだろう。

うちらが話していると全員が、昔のようにCocinaに集まり、家族団らんとなる。最近の近況報告などで盛り上がる。

アラブの話のついでに出てきたのが下のつまみ(豆)。子供の頃は駄菓子のように食べたらしいし、今もCervezaのつまみとして食べることが多いらしい。おじいちゃん、おばあちゃんの時代なので、今の若者が食べるかどうかは知らないらしいが・・・。

名前はAltramuces(単数だとaltramuzになる模様)。アルトゥラムセスと読む。頭にAlがついているのを見ればわかるとおり、アラブからやってきた食べ物。辞書で調べたら、ルピナスとかハウチワマメ(羽団扇豆)とかでてたが、そんなんしらん(笑)

Pipas(ひまわりの種)みたいに皮を前歯で取り除いて中身を食べる。味は味の濃い豆って感じだ。隣に写っているのは普通のピーナッツ。落花生。スペイン語ではCacauete。

余談だが、この単語(Cacauete)・・・おいらがスペインにやってきておそらく5番目くらいに覚え単語。挨拶もろくすっぽできない時代のことだし、どうして覚えたのか、良く覚えてないが、スペイン人に「どんな単語知ってる?」と聞かれて答えたらものすごい笑われたのを覚えている。


で、Tajin。

今日Manoloが作ったTajinが本格的なものなのか、はたまた家庭で作る簡易バージョンなのかは知らないが、簡単にRecetaを書いておく。Manoloがまだ肉を食べているころによく食べていたというので、どちらかというと家庭で作っていた簡易料理であろう。

【Tajin】
01.みじん切りにしたタマネギをたっぷりのオリーブ油で炒める。
02.ニンニクは入れない。
03.適当な大きさに切った鶏肉を投入。
04.鶏肉は今回は残っていた胸肉だったが、違う肉でもいいかも。
05.シナモン(棒のヤツ)を3本くらい折って入れる。
06.紅茶(アールグレイだった(笑))を入れる。
07.量は・・・コップ2杯か3杯くらい?
08.しばらく煮込む
09.ある程度煮込んだら、干しぶどうと干し西洋スモモ(プルーン?)をいれる
10.煮込む。
11.ご飯をお茶碗によそってさらに小山のようによそう。
12.ミントを小山のご飯の上にデコラシオン。
13.Tajinをよそってできあがり。
(できあがりは写真参照)


日本でもピラフとかでレーズンを使ってるやつがあるが、干しぶどうと干しciruela(西洋スモモ?プルーン?)と一緒に煮込んだだけあって、ソースに甘みがでていて旨かった。だが、もうちょっと煮込むと肉に味がしみこんでいいのかもしれない。

あとからネットで調べたら、本格的なものはもっとスパイスをいれるらしい。クミンとかいろいろ。

この料理・・・ワキワキ(スペルわからず。wakiwaki?)というレモネードみたいな飲み物と一緒に食べるのが基本らしい。凝り屋さんのManoloはそれも作っていた。ポイントはRose Water(バラ水)らしい。そんなものが存在すること自体知らなかったおいらは、匂いをかいで、トイレの芳香剤を想像してしまった。

味は普通にレモネードみたいだが、本物は違うらしい。本物を知らないからこれもまた何とも言えない。

テラスでおいしくTajinとワキワキをいただきく。

食後は映画を見る。例のごとく最後まで起きてみていたのはおいらだけだったが。

【El Bueno El Malo El Feo】3.8点(5点満点) スペイン語わかりやすさ度:8

このタイトルだと「????」となるが、日本だと「続・夕陽のガンマンというタイトルでかなり有名な作品。ジャンル的には言うまでもなく1960年代にかなりのブームになったマカロニウェスタン

もう・・・男の映画です。こういっては何だが、「女子供はひっこんでろ!!」の世界だと思う。実際、映画に女子供はでてこないし(笑)。日本で言うと任侠映画のようなものになるだろう。

それぞれアクの強い俳優がでてきているが、やはりクリント・イーストウッドがかっこいい。役柄的に卑怯なのだが、それでもかっこいいものはかっこいい。サイドの三つ巴のシーンは、男なら誰でも手に汗握るに違いない。あれで手に汗握らなかったら男じゃない!とさえいってもいいくらい。いや〜昨日くらい映画みたばかりだから、すかっと爽快!って感じだ。

時間は2時間と長いが、スペイン語も全然わかりやすいし(西部劇なので、そもそも台詞が多くない。目だけで語る世界だから)、飽きがこないべたなストーリなので(途中中だるみしないでもないが)、最後までしっかり見ていられる。終わりも、予想通りなのだが、水戸黄門の最後の殺陣と印籠シーンを見て、「またかよ!」と言う人はいないだろう。それと同じだ。

音楽は大御所のエンニョ・モリコーネ。現在でもバリバリ一線で活躍する音楽家だ。もう彼の音楽も最高!アヤヤヤヤ〜!って曲は、映画を見たあともしばらく口ずさんでしまうくらい危険な曲。

ストーリーは至って簡単。多少ネタバレっぽいところもあるかもしれないので、とばす人はとばしてください。

El buenoとEl feoはコンビを組み、汚いやり方で(El feoがおたずねものになり、El buenoがそれを捕まえる。警察に引き渡して、賞金をゲットし、絞首刑になるところを銃で縄を撃ち切り、逃げだし・・・金だけもってとんずら。それを繰り返す)を使って金を荒稼ぎしていた。だが、そのやり方も危険(飽きて?)になってきたのか、El bueno(良い者の意。善玉?)がEl feo(醜い男)を見限る。砂漠の中に1人残されたEl feoはどうにかこうにか街に辿りつきことができ、El bueno(Rubioという名前)への復讐を誓い、それを果たすことに成功するが、ひょんなことから、ある男の隠した20万ドルの隠した在処の情報をEl buenoとEl feoが二人で分け合ってしまうことに。El buenoは隠した墓に書かれた名前。El feoは隠した墓のある場所といった具合に。一方、別ルートでその20万ドルを探していたEl Malo。最終的にはその三者がかかわりを持つようになり・・・。

まぁ、とにかく男なら見て欲しい映画ですね。鳥肌もん。

El Malo役の男は、なんとなくうちの親父に似ていて笑ってしまった。あと撮影場所となっているのはAlmeria(アルメリア)だ。Andaluciaの一都市なのだが、西部劇にぴったりの風土なので、マカロニウェスタンではしばしば使われているらしい。そういうわけじゃないけど、この映画もイタリアがメインらしいが、スペインも合作として名を連ねている。

まぁ、感想はそんなところかな。

追記
スペインではマカロニではなく、スパゲッティーウェスタン。確か、アメリカでも同じ名前だったかと・・・。