母国語は話したくないの!!

ナイト友君と黒幕フサエ嬢がなにやら企んでいることが判明。

今晩の学校のPlayaでのFiestaで決行するというので、野次馬根性で見学しにいくことにする。ついでに、Vacacionesを終えたコスタの校長Andreas(アンドレアス)へのゴマすりと、現在コスタの受付嬢をやっているDenisse(デニス)への顔見せ、でもって、スペジン人じゃない人間(他の国から来た学校の生徒)とスペイン語を話して、最近低迷しているおいらのスペイン語の訓練、そして、自信回復も兼ねて参加することにした。

時間は10時半にPlayaのdelfin(イルカの像)に集合なのだが、例のごとく、時間通りにいってもほとんど人がいないので、少し時間をずらして11時過ぎくらいに到着するように友君と待ち合わせる。おいらがペコちゃんと銘々したAちゃんも一緒にいくというので3人で行くことに。フサエ嬢はGermanの車でいくことにしたとのことだった。

Aちゃんが少々遅れたため、11時くらいに友君のPISOをでて、まだ走っているかどうかわからないTranviaの駅に向けて歩き出す。

運良くやってきた最終と思われるTranviaに走り乗り、Playaに向かった。

走り出して5分ほどすると、二人の女性が乗ってきた。

女「トモ〜〜〜〜〜〜!!!!

腕を広げて叫ぶその女の子。車内に響き渡る彼女の声。11時を過ぎていたということもあり、乗っている人は少なかったのはあるが、そんなことをお構いなしで、叫び続ける彼女。

スペイン語の発音から、彼女がイタリア人ということはすぐにわかった。

もちろん人によるのだが、ドイツ人、アメリカ人、イタリア人は容姿も含めてだが、ある程度こっちにいると、話し方だけですぐに判別できるようになる。ちなみに、見た目だけで判断するのは、それなりの修行が必要。最初は、ヨーロピアンから日本人、韓国人、中国人のようにすべて同じに見える。

友君が二人のイタリア人女性と和気藹々と話しているのを、楽しく聞くおいら。そして、Aちゃんに話しかける。

お「おいらさ〜帰る前に一つどうしても習得したいことがあるんだよね〜」
A「何ですか?」
お「イタリア訛りのスペイン語・・・あの発音でもスペイン語話せるようになりたいの!」
A「そんなんだったら、イタリア語やった方がいいじゃないですか!」
お「・・・・」

彼女に淡々と「無駄なことに大して一生懸命やる楽しさ」を講釈しようと思ったが、20才の彼女にそんなこというなんて、とてもオヤジっぽい気がしたので、ぐっと言葉を飲んで、

お「アメリカ訛りのスペイン語はマスターしたんだけどね」
A「え〜〜〜〜!!!」

におさえておいた。


すでに浜辺にいた学校のメンバーはすぐに見つかり合流。無料で振る舞われる大量のSangria(Sanguria)を作っているAndreasを発見し、すぐに話しかけに(ゴマすり)しにいく。

そこで、少し世間話。学校のこれからのイベント情報とその詳しい説明(サイト情報用)、おいらの帰国予定日、サッカーの話などなど。

今年は去年の夏よりも生徒の数も含めていろいろ順調にいっているらしく(おそらく去年はマドリッドのテロの件で留学人数が減ったと思われる)、恐ろしくExcrusion(遠足)が増えていた。おいらも興味があるやつがあったので、お財布に余裕があれば行ってみたい。

Andreasとの世間話が終わると、おいらもイタリア人との会話に戻る。彼女たちの名前はLaura(ラウラ)とAngelica(アンジェリカ)。あのイタリア人独特の発音と大声でスペイン語を話しまくっていた。

途中、ドイツ人の女の子が1人入ってきて、彼女と二人で話す形になる。

彼女は語学に興味があるらしく、ブラジルにも留学経験があり、ポルトガル語も操る。まぁ、こんな人間(言語を3つも4つも話す人間)は、こっちには腐るほどいるので、今更驚きはしない。

先ほど、ドイツ人は話し方だけでわかると書いたが、この手の語学に精通しているタイプは判別が難しい。見た目がドイツ人だったので、ドイツから来たということはとすぐにわかったが、スペイン語はおいらなんかよりもよっぽど流暢だった。なのに、3年いるってだけで「それじゃ、もう先生ね!」と言われ、慌てて否定した。

ついでなので、語学について書いておく。

3年いるともう完璧にスペイン語を操るように思われがちだが(仮にこれがヨーロッパ人だったらそう思われてもいいと思うが)、日本人の場合は・・・もちろん全部というわけではなく、そうじゃない人もいるが・・・・3年程度じゃ、とてもじゃないけど完璧といわれるレベルにいくのは厳しいと思われる。仕事で覚えなくちゃとか、語学の大幅な時間(文法勉強と会話の両立等)を割いている人間ならいざ知らず、おいらように、日本人と接する時間も長く、やれVinoだ、やれケバブだ、やれ歴史だ、やれスペイン料理だ、やれ旅だ・・・といっているタイプの人間は、同じ3年でもレベルは低い。

まぁ、おいらの場合は語学だけではなく、どちらかというと情報収集メインなので、タカシ君のような情報通な日本人との会話は絶対にかかせないので、それが悪いこととは全く思ってない。スペイン語が上達しないだけで・・・(笑)

というわけで、おいらのスペイン語レベルは生活には困らないが、映画見たり、ちょっと複雑な会話、スペイン人同士の本気トークなんて、今でもチンプンカンプンなことなんてしょっちゅうだ。二人だけだったとしても、ManoloやSantiのようにもう話なれた人間ならともかく、初めて会った人との会話はその癖をつかまないと、何を言ってるかわからないこともしばしばだし、活用を間違える、どもる、単語を間違えるなんてのは日常茶飯事。自慢できることではないけど(笑)。

おそらく、3年のメリットをあげるとするならば、仕草を含めた会話(スペイン人らしい会話)、また学校では習わないような会話、ある単語についての使用幅、スラング、実際に使われている表現あたりじゃないだろうか。このあたりの自然に身に付いてくるものは、日本で学んでやってきた人間とは大きな差があり、時が経たないと少々厳しいと思われる。あと、性格もかなり大きく左右すると思う。

単語の量については、日本の大学なりで勉強してきた人にはとてもじゃないけど叶わない。彼らは使用頻度は別にして、恐ろしい単語を知っている。以前、マリちゃんには「指関節」って単語を聞かされ驚かされたし、大興君には「輪廻転生」という単語を知っていてびっくりしたことがある。

「おまえら何者じゃ!」と何度思ったことか・・・。

そんなレベルでも、スペイン語を習っている外国人のスペイン語はわかりやすい。単語も自分のレベルが1〜3だとすると、背伸びすればギリギリ届く4〜6程度だったりするので、たまに単語がわからなくても、会話はできるという具合だ。これでおいらは生き延びている感じ。


話を日記に戻そう。


そのドイツ人と30分くらい話したあと、おいらは空になったVasoにSangriaを注ぎに行き、彼女は彼女のクラスメートのところに戻っていった。

すると、Lauraがニヤニヤしながら、おいらのところに戻ってきた。

L「見たわよ、見たわよ!み〜〜た〜〜わ〜〜よ!」
お「何を?」
L「ドイツ語で彼女を口説いてたでしょ?」
お「え????違う違う!知ってるドイツ語を話しただけだって!」
L「彼女、綺麗だもんね〜!」
お「・・・・(なんか大きく勘違いしてないか?(笑))」
L「駄目よ、駄目よ!!」
お「何が駄目なんだよ〜〜〜!!!」
L「あなた、もう日本戻るんでしょ?」
お「何がいいたい・・・」
L「今夜はちゃんとおうちに帰りなさいね!」
お「はいはい・・・でもさ〜イタリア人が人のこといえないだろ〜〜!」
L「ははは」
お「おいらの知っているイタリア人は、いつもFiestaの時女の子を探してるぞ!」
L「それは事実だけどね!はははは。でも、駄目なものは駄目よ!」
お「はいはい・・・」
L「それにしても、あたしはすごい憤慨してるの!」
お「え???おいらに???」
L「違うわよ」
お「なんで怒ってるのよ」
L「あたしはね。イタリア語を話したくないの!!」
お「うん。さっきそれはトモと話してたよ。彼女たちはイタリア人同士なのにスペイン語で話すからとてもありがたいって。普通、イタリア人って、イタリア語で会話するからね〜」
L「そうなのよ!彼女たちは留学というよりも、遊びできてるから、別にかまわないのよ」
お「だろうね〜。だって、Lauraたちからしたら、スペイン語なんて簡単だろうし・・・」
L「でも、あたしは違うの!!イタリア語なんて、イタリアでいくらでも話せるの。Valenciaは大好きだし、学校も楽しいけど、イタリア人が多すぎ!!イタリア語を話したくないのに、話さざるを得ないのよ!それがすごくいや」
お「今この中に(全部で70人くらいのFiestaだった)イタリア人はいっぱいいるの?」
L「い〜〜〜〜〜っぱいいるわ。あたしの後ろ・・・彼女もそう。」
お「彼女もそうなんだ(笑)」
L「学校でもそうだけど、バスとかおりても、ちょっと耳を澄ますとイタリア語が聞こえてきてゲンナリ。で、向こうはこっちがイタリア人と気づくと、イタリア語で話しかけてくるし・・・」
お「はははは。そりゃ難儀だね〜」
L「だから、あたしはトモとかあなたみたいのと話したいの。トモはホント面白くて最高よ!!!」
お「トモはいろいろスペイン語について知ってるからね〜。」
L「そうそう。ホント最高よ!」


実際、おいらが学校で見かけるイタリア人の大部分は・・・なにかの企画なのか集団できてることが多いが・・・は学校内でもイタリア語で話していることが多い。うちらも当然、日本人同士だったら日本語で話すが、それとはちょっと違って・・・こそこそ話す感じではなく、もう我が物顔で、先ほどの車内のように大声でイタリア語を話すので、ここがスペイン語学校とわからなくなることがある(笑)そういう案配で、学校の企画に参加しても、イタリア語が響き渡ることがある。あとドイツ語と英語も聞こえる(笑)。なので、この手の発想を持ったイタリア人にであったのは初めてだった。

こっちで母国語を話したがらない人間を見つけるのは意外とラクチンだったりする。学校のイベント等に参加すれば、ぽつんと1人ないしは2人程度でいる人間がそうだったりする。集団でいる場合はまず、同じ国同士で母国語を話している。スペイン人(先生等)が中に入っている場合もたまにはあるが・・・。

あと、彼らは外国人に話しかけてくる。つまり、うちらのような人間に気さくに話しかけてくる。日本人は照れ屋さんが多いので、少々勇気を出して・・・となるが、彼女たちはそんなことはない。特に、Lauraのようなイタリア人は、意図も簡単にすんなり懐に入ってくるので、とてもラクチンだ。

日本人の場合でも、母国語を話したがらない人間はもちろんいる。「留学に来てるのだから、なんでわざわざ日本語話さなきゃいけないんだ!」という了見なのだろうが、日本人の場合、たまにすごいムッとくる場合がある。

確かに群れてばかりなのはどうかと思う。特に、短期留学とか、来たばかりとかの時点だと問題もあったりする。たとえば、日本人ばかりの場所にいくことを避ける、誘ったりしないの類はもちろんなんら問題はないし、普通だろう。たまに情報交換するくらいとか。

だが、たとえば学校とか外で偶然顔をあわした時、何かのイベントで一緒になったとき・・・普通、日本人だって挨拶くらいするだろうとおいらは思う。特に異国でであった母国を同じにする人間同士が、無視して、微妙に相手を伺いながら、通り過ぎたり、その場を過ごすのだ。

これは日本で無視して通り過ぎるのとは大きく異なる。うちらにとっては異国人だらけの場所で、明らかに目立つうちらアジア人が、同じ国の人間が何ら挨拶をしないで通り過ぎるだけなのだ。恐ろしく奇妙な光景だし、滑稽な状況だ。

こんな状況をみたあるスペイン人がおいらに聞いてきたことがある。

「AとBは喧嘩でもしたのか?学校とかですれ違ったのに挨拶もしないし、授業中も自分を通して会話するし、学校の企画に参加しても、二人が話しているのを一度もみたことないんだけど・・・」

思わず笑ってしまった。

これは流石に極端な例ではあるが、日本語を話すのが嫌なら、せめてスペイン語で「Hola!」でもいいから、挨拶くらいしようよ。ホント。

なんか、日本人どうこうというよりは、人としてすごく失礼な気がする。


まぁ、いいや。

で、今日はせっかくスペイン語を話せる(スペイン語でしか会話できない)人間ばかりなので、母国語は避けて、いろいろと話しかけてみる。

エクアドル人のDenisseを筆頭に、新しく入ったなかなかGuapa(ちょっときつめではるが)な先生、同じく先生のCarles、German、Elena、Manolo・Santiコンビ(途中から来た)ドイツ人×2、フランス人、オーストリア人、ノルウェー人(このノルウェー人もLauraと一緒で、学校に大量にいるノルウェー人とはできるだけ話さないようにしている子だった。そして、同じく語学に興味があるらしく、良く聞くノルウェー人のスペイン語とは全然違っていた)、旧東ドイツ人(彼女には例のごとく住んでいる都市を聞いて、マインツ!」と叫んだところ、「そうなのよね〜。みんなドイツから来たっていうと、ミュンヘンとか、ケルンとか、フランクフルトとか行ってくるけど・・・あたしはライプツィヒの南なのよ・・・(苦笑)」と言われてしまった(笑))と、とても有意義な時間を過ごせた。

いや〜久しぶりにスペイン語モード全開で話して、知恵熱でそうになったよ。

予定通り、訓練にもなったし、自信もちょっと回復できた。こんな次元の低い会話(自己紹介やちょっとした世間話程度)で満足してるのもどうかと思わなくもないが、やはり人と知り合うのは楽しい。

そういえば、Denisseに日本食を食べさせろ!箸使いたい!まだ一度も使ったことないし、食べたことがない!」とせっつかれた。「じゃ、今度家に遊びいったら作ってあげるよ」というと、「あたしが貴方の家行くわ!」と・・・。

おいらが家で作るのかい・・・。

近々セッティングしなくてはいけなさそうだ。まぁ、海苔巻きでいいでしょ。例のごとく・・・。

夜中の5時・・・ちらほらと人がはけ始めた。みな、夏の時期だけ特設される野外Discoteca「Akuarela」(アクアレラ)に行き始めるのだ。夏の風物詩的Discotecaなのだが、いかんせん有料で、しかも高い!入るだけで13eurosかかるし、Cubata(酒)が一杯7eurosとかするのだ。

お財布にタバコ代の3eurosしか入っていないおいらにはとてもじゃないけど入ることができないし、すでにこれまで何度かいってるので興味がない。

Manoloも行かないというので、Santiも含めてタクシーで帰ろうと思っていたのだが・・・Santiが・・・おそらくまたしばらくスペインを離れるからだろうか、はたまた酔っていたのだろうか・・・行くと言うことで、先ほどまで「いかない」といっていたManoloもつきあうことになってしまった。

フサエ嬢と友君はとっくの昔にいってしまっており(少しだけ参加して皆で一緒に帰るといっていたのだが・・・)、ぽつね〜〜〜〜〜〜ん!と残されたおいら1人。

1人でタクシー乗れるほどの金もない。

しょうがないので、夜中の5時近い街を、トボトボと少々千鳥足の状態でPlayaを後にする。

歩き始めて5分もしないうちに・・・千鳥足のせいでか、壊れては治し、壊れては治し・・・とだましだまし使っていたサンダルが再びぶっ壊れる。

さっきまでの満足感はどこへいったやら。

もう、泣きっ面に蜂とはまさにこのこと。

でも、ただでさえポジティブな人間のうえに、多少酔っぱらってるとこうこともあり、これまただましだまし・・・鼻緒が抜けては、裸足で歩きつつ、また無理矢理つっこみ治し、また抜けては、裸足になり、つっこみ・・・と帰ってきた。

それにしても、やはり海から家までは遠かった。おいらの歩行速度が普通じゃないにしても、40分〜50分はかかる。しかも、鼻緒が切れた状態なので、おそらく1時間くらいかかったんじゃないだろうか。

気を紛らわすためにタバコを吸いたがったが、どこも店は開いていなく、ようやく家の近くのGulliverで購入し、部屋でCerveza飲みながら一服。

そして、5時半頃倒れ込むように寝た。


追記
ナイト友君と黒幕フサエ嬢の企ては・・・特に何事もなく終わったようだ。少々拍子抜け。