あたしを縛って!

月曜日ということで・・・心機一転心を入れ替えて、昼間から24000ピースのジグソーパズル。

今回の旅は、Pais Vascoを除く、北スペイン・・・CantabriaAsturiasGaliciaを攻めようと思っていたのだが、いかんせん、バスで片道軽く10時間以上かかる(飛行機なら1時間半なのだが、ValenciaからだとVueling(格安航空会社)を使用してBilbaoまでしかない)。

時間がたっぷりあったらば、せっかくなのでGaliciaまでいって、8年前とどれくらい変わったかみてみたかったのだが、仕事の関係で、31日のTomatinaに間に合うように帰ってこなければいけないので、今回は残念だが、Galiciaは切ることにした。その分、CantabriaとAsturiasに力をいれようと思う。特にAsturiasレコンキスタ発祥の地。もう心躍りまくりだ。まぁ、実はおいらはどちらかというと、イスラム教徒寄りなのだが・・・

起きてから夕食まで、ほぼすべての時間をプランニングに使う。時刻表をいろいろ調べて、どのルートが一番いいかを調べる。

行きはValencia-Santanderで決定。バス会社はBilman Bus。夜11時05出発で、到着は朝の9時半。10時間半の旅。運賃は片道約30euros(4000円くらい)。そこで、日本から「論文用の資料探し」の"名目"で、旅行にやってくるマリちゃんと待ち合わせをして、北スペインを回る。

で、問題は帰りの便。

おいらの旅の後半はOviedoを基点にしての日帰り小さな村散策の予定なので、とりあえずOviedoを基点に考える。

来た道を戻ってSantander-valencia経由で帰るか、OviedoからMadridを経由して帰るか、はたまた、Galicia入りして、Lugoに立ち寄ってMadrid経由で帰るか、Lugoまでいくんだから、2時間半かけてSantiago de CompostelaまでいってMadrid経由で帰るか・・・いくつもルートはあった。使うバスは主にAlsaになる(Alsaのサイトはリンク参照)。

すべての乗り継ぎ、運賃、Valenciaの到着時間等々をすべて書き出して、一番効率の良さそうなものを選ぶ。

結果、Oviedo-Madrid経由か、Lugo-Madrid経由の二つに絞られる。Compostelaまでいってしまうと・・・おそらくTomatinaの時に死ぬと思われるので、やはり却下することに。この二つはSantander-Valenciaで帰るよりも少々高くなるが、Santanderまで戻るという、寂しいことをせずに住むし、時間的にも10時間以下でValenciaまで帰れるし、到着時間も朝方5時というのがあるので、そのままTomatinaにいくことも可能。

問題は、朝の5時に到着するのはいいが、学校集合は8時。でもって、仕事でホテルまでお迎えに上がるのが7時・・・。その前は10時間バスの旅・・・。Tomatinaが始まった時点で、疲労困憊してしまいそうで怖い・・・

とはいえ、他に道はないので、それでいってみることにする。


今日はMi Kyungが休みなので、一緒に夕食を作ることにし、Mercadonaに買い物。

お「何作るかね〜」
M「今考えるところ〜」
お「う〜ん・・・」(すでに頭使いすぎて考える気なし)
M「カレーにしようかな〜」
お「あ〜、いいね。簡単だし。おいら、ルーもってるよ」
M「いや、韓国のやつがあるから大丈夫」
お「おお!韓国のカレー???そりゃ、楽しみだ!」

家に帰ってきて、二人でCervezaを飲みながら夕食を作り始める。Manoloも食べるので、肉はなし。魚もなし。Mi Kyungはシーフードカレーをタイで食べたらしいが、まずかったらしくて、「うえ〜〜〜!」といっていた。シーフードカレーって作るのちょっと難しいけど(具材が堅くなるし)、ちゃんと作れば美味しいと思うんだけどな〜。

韓国カレーということで、ちょっと楽しみにしながら料理を手伝う。

じゃがいも、ニンジン、タマネギ・・・このあたりは日本のカレーと同じだ。おいらはカレーにジャガイモをいれない人なのだが、じゃがいもの入ったカレーも好きだ。

その後、リンゴを切り始める。バーモントカレーのCMで「リンゴと蜂蜜かけるだけ〜」(?)みたいなやつがあるが、Mi Kyungのカレーはリンゴがはいるようだ。

カレー以外でも、Mi Kyungはよく料理にフルーツを使う。韓国料理がそうなんだと思われるが、プルコギを作るときにも洋なしをたくさんいれていた。ソースに甘みが増してとても美味しい。

しばらく、具材を炒めると、カレーの粉が登場。日本のようにペースト状(?)いなっているやつではなく、完全に粉状のカレー粉。それをお湯に混ぜて使うようだ。とろみは小麦粉か片栗粉なような粉をしようしていた。ハングルは読めないのでわからないが、おどらく片栗粉だと思われる。

カレー粉は黄色い袋で、真ん中にイタリックに斜めになったハングル文字がでかでかと書いてある。

お「ねぇねぇ〜これなんて書いてあるの?」
M「バーモント!
お「バ・・・バーモント????」
M「そう。英語だと思うわ」
お「日本にもあるよ・・・バーモント」
M「あ、そうなの?」

よく見たら、パッケージにはリンゴとパイナップルの写真が載っていた。

そうだよな・・・そうだよな・・・日本と韓国なんてお隣だもんあ〜。そりゃ、バーモントくらいあるよね〜。

ってことで、韓国カレーの夢はたたれ、かつてはよく食べたバーモントカレーになってしまった。

変に好奇心だして、聞かなければ良かった・・・と少し後悔した。


10時過ぎ・・・仕事からManoloが帰ってきた。

お「Manolo〜〜!腹減ってる?ご飯どれくらいよそうよ?」
M「全然腹減ってないんだよ〜〜〜!!」
お「え〜〜〜〜〜!!!!!じゃ、ちょっとだけ?」
M「いや、今日は晩飯食べないよ」
Mi「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
M「いや、今日学校の企画で映画いくことになってたんだけど、土壇場になって中止になったんだよ。知らなかったから、Bocadilloをさっき食べちゃったんだよ。30分くらいまえに。だから、今は食べれないよ・・・」
お「・・・かわいそうに・・・」
Mi「・・・・」

お「Mi Kyung・・・うちら、これだったら、肉使えたね・・・」(ささやき声で)
Mi「う・・・うん・・・・(つд`)゜・。」

ということで、肉も魚介も入ってない野菜バーモントカレーを二人でテラサで食べる。

味は、日本のものと全く同じ(笑)。

おいらが作るともっと味が濃く、も〜〜〜〜ったりしたカレーになるが・・・。


食後、いつものように3人で映画を見る。


【ATAME!】 4.5点(5点満点) スペイン語わかりやすさ度:7

この「ATAME!」(アタメ:私を縛って!の意)はかつては日本のレンタルビデオで借りれる数少ないスペイン映画の一つで、おそらく8年前・・・いやもっと前かも知れないが、レンタルで借りて2,3度みたことがあった。監督はご存じペドロ・アルモドバルで、1990年の作品。

当時おいらが見たときも、楽しい、面白い映画ではあったが、それ以上に「変な映画」、「おかしな映画」というイメージの方が強かった。

いうたら、「面白い映画」<「変な映画」という感じになる。

というのも、当時「ATAME」同様、レンタルできるスペイン映画に「Mujeres Al Borde de un Ataque ed Nervious」(神経衰弱ギリギリの女たち)や「KIKA」(キカ)があり、おいらの中ではペドロ・アルモドバル映画=「変な映画」というレッテルが貼られていたからだ。

そんな映画を久しぶりにみたのだが・・・もうびっくり!!!

「変な映画」<<<<<<「面白い映画」

になっていた。

それは齢を経て、昔よりは成長したから映画の意味がわかるようになった・・・というのもあるいはあるかもしれないが、明らかにそれだけではない何かがあった。

そこにはおいらの知ってる「スペイン」があった。かつては全く知らなかったが、いまは良く知る、おいらが現在も生活の中で毎日見ている「スペイン」だ。

昔見て、改めて見たらつまらなかった、あるいは逆にが倍増した・・・ということはたまにあるが、この映画に関しては、「おもしろさ倍増」・・・なんてもんじゃない。何乗しても足りないくらい、かつてにはないおもしろさの増幅を感じた。なので、4.5点というのはおいらがこれまでつけた中ではかなり高いほうだが、その変化にたいする感動のために少々高得点になっているというのもある。

ストーリーを軽く書いておくと・・・

精神病(サイコみたいな感じ)を持ち、精神病院に入っていた(何度か出たり入ったりしている)のリッキー(アントニオ・バンデラス)が、再び病院を退院することになった。彼は「今度こそちゃんと生きてやる!そのためには結婚して、子供を作って・・・」とプランを立てる。

そのプランは恐ろしく性急なものだった。彼は、昔娼婦として関係を持ち、さらにポルノ女優であったマリーナ(ビクトリア・アブリル)を結婚相手として白羽の矢を立てる。

彼は彼女をストーキングし、家までやってくる。もちろん、彼女はリッキーの事なんて知らないので、彼の勝手な言いぐさ(結婚プラン)について憤慨するが、リッキーはそんな彼女がいつか自分を愛してくれることを信じて、時間を共にすることにする。

そう・・・いうたら軟禁。

タイトルの意味である「あたしを縛って!」から、その辺はどう軟禁されたかわかると思う(笑)

この映画はそんな彼女がどのようにしてリッキーの愛を受け入れていくか・・・というお話。まぁ、ゆがんだ愛の形を描写した映画ってことかな。

ストーリーの転回はとても早いので、たまに「え??」と思うこともあるが、最後まで目が離せない。そして、笑える。

スペインに少しでも滞在したことがあるならば、この映画の雰囲気(会話のやりとり、家の構造、街の雰囲気、スペイン人のバカっぽさ等々)はおそらく時代は違っても懐かしいものに写ると思う。それくらいスペインが変わってないってことかもしれないが(笑)。たとえば、路上駐車のシーンでのやりとりなんかも、あまりに当たり前の光景で、思わずニヤッとしてしまうかもことだろう。

そして、スペインにきたことがない人間でも、これは是非見て貰いたいスペイン映画だ。最高に面白い。

最後に細かい部分をいくつか。

アントニオ・バンデラスはこちらにきて、彼の若い時の作品を見るきっかけがかなり増えたが、それでも脇役ばかりで、どうしてもイメージ的には「ハリウッド俳優」という部分がどうしても払拭できないでいたのだが、このATAMEで主人公のリッキーを演じる彼を見て、うむむむ〜〜〜と唸らされた。彼はもちろんスペイン人(Malaga出身)なのだが、初めて彼を「あ〜〜〜!!!スペイン人だ〜〜〜!こいつ!」と思った映画だ。それくらい存在感があある俳優であった。
(ちなみに、ペネロペも同様。昔の映画の方がエロくて、美しい。演技はうまくないのだが・・・。かわいいから許す!)

あと、リッキーとマリーナのベッドシーン。スペイン映画というのは総じて、ベッドシーンが激しい。というか、女性がトイレで用を足しているシーンなんて普通にでてくるし(Lucia y el sexoとか)、年配の男女の絡みもでてくるし、男同士の絡みもありと、日本ではタブーとされているところが(スペインでも70年代はじめまではタブーであった)、彼の映画ではしばしばでてくる。それらが彼の映画=変な映画、映像がきつい映画とさせていると思われるのだが・・・今回もえらくハードだった。

下半身部はでてこないにしても、えらくリアルなのだ。あまりにリアルなので・・・思わずManoloに聞いてしまった。

お「ねぇ・・・これ・・・本当にやってたりするの?」
M「いや、そうみえるけど、やってないよ」
お「だよね〜。でも・・・リアルすぎ・・・血管の浮き出方といい、息継ぎのタイミングとか・・・すげ〜」
M「スペイン人の俳優はこういうのは慣れてるんだよ(笑)」
お「ははは・・・ありうるね。」
M「特に彼女は、この映画の他にもこういうシーンがかなり多いしな」
お「ほほう・・・」

まぁ、いうたら、下手な演技をしているAV女優とかよりも、よっぽど本物っぽいわけだ。かなり昔「失楽園」で役所広司黒木瞳(だったか?)の絡みが日本で話のネタにされたことがあるが、そんなもん比になりません。スペイン映画。

このペースで「キカ」と「神経衰弱ギリギリの女たち」もみてみようと思う。


お勧めのスペイン映画はた〜〜くさんあるんだけど、日本だとないのが多いんだよな〜。今度まとめてサイトにアップすることにする。