また一つの時代が終わった・・・Ricoric閉店(予定)

朝から元気溌剌大掃除。

空き瓶捨てに行く。すでに残り10本以下。やっぱり思い入れの強いVinoの空き瓶は捨てれない。「もう少し粘ろう。10本ならどうせすぐ捨てられるし・・・」とひとりごちて、dejaる。

掃除に精を出す夕暮れ時、タカシ君から電話が入る。

お「あいあい」
タ「元気〜〜?」
お「うん・・・あいかわらずおじいちゃんぼろぼろだけど、まぁ元気」
タ「う〜ん、そっか〜」

タカシ君、声はおいらより元気なさげ。まぁ、さもありなん。

お「・・・・で、どうしたの?」
タ「う〜ん・・・」
お「どっかで軽く呑む?例のBarとか?」
タ「大丈夫?」
お「うん、問題なし」
タ「あ〜〜〜!!ちゃうちゃう!電話かけた理由思い出してん!」
お「はう?」

なんかおかしいと思ったら、元気ないんじゃなくって、何か思い出そうとしていたっぽい。

タ「あんな・・・Ricoric閉店するっぽいで〜
お「うそ〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
タ「今日帰りRicoricの前通ったら「Se Traspasa」(譲渡の意)って書いてあってん」
お「・・・・マジで〜〜〜!!」
タ「最近、イマイチっていっとったからな〜」
お「うぬ〜〜〜うちらのせいか?日本人減ったから・・・」
タ「はははは・・・」
お「大興君が・・・」
タ「こっちに来る理由がな〜」
お「うぬ〜。また一つの時代が終わるのか〜。もう、駄目やね〜。どんどん変わるね〜」
タ「なぁ〜」
お「おいらも帰るし、タカシ君も引っ越すし・・・」
タ「ちょうどえ〜のかもね〜」
お「・・・うん」
お「まぁ、しょうがない。とりあえず、8時に例のBarね」
タ「あい。現地集合ね。」
お「少し遅れるかも・・・」
タ「OK」


電話を切ったあと、また一つの時代が終わったことをかみしめる。とりあえず、Ricoricへ行って話を聞くことにする。そのために、「少し遅れる」といったわけだ。

未だ買い手がはっきりしないKristin号に乗ってBarに向かいながら、Ricoricの前を通る。

確かに貼り紙が貼ってあった。Se Traspasa・・・。なんとも切ない響きだ。

貼り紙の下を見るといつものように座っている眩しそうな弟が見えたが、その周りには大量のインド人(パキスタン人?ありえないが・・・)が群がっていた。そのため、話かけれるような雰囲気ではなかった。あきらめて、Barに向かう。

Barはシャッターがおり閉まっていた。Horario(営業時間)でも調べておこうと、入り口に回ると半分シャッターが開いていることに気づく。中にはいつものArgentino(アルゼンチン人)のお兄さんがなにやらやっていた。

お「今日はお休み?」
A「うん。休みだよ〜」
お「そっか・・残念・・・じゃ、また今度くるわ〜」
A「あ〜〜〜!待て待て」
お「え?」
A「Una Copita de Vino(一杯のVinoの意)かい?」
お「そうそう」
A「だったらいいよ。店はやってなくて、今も明日のためのTapasの準備してるから、食べ物はないけどね」
お「ホント??いや、Tapasはいらない。Vinoだけで十分」
A「じゃ、その辺に座ってよ・・・そこは椅子積み重ねてるから・・・」
お「ありがと!!!」


スペイン人も南米人(ブラジルと少しの小国を除いて)も母国語をスペイン語とする国だが、こっちにいると南米人の親切さというか、気さくさにはいつも脱帽させられる。スペイン人が決して親切ではないとか、気さくではないと言っているわけではないが、南米人はさらにその上を行くのだ。Andalucia人のもつそれとまた違った、人に対する優しさが、気遣いがはっきりと見て取れるのだ。これはアルゼンチン人だけでなく、メキシコ人、コロンビア人にも同様に言える。
(チリ人はこれまで1人しかみたことがないのと、嫌な1人を知ってるのでここではいれないで置く(笑))


Vinoを一杯飲まないうちに、程なくしてタカシ君登場。いつものようにBarraに座ってあ〜でもない、こ〜でもないと話す。今日のテーマは、PCにおける顔文字や2ちゃん用語的パソコン専門用語の使用について熱く語り合う。

忙しそうに明日のTapasを作っているArgentinoの兄ちゃんとも少し世間話をする。昔は違う感じのBarだったと記憶していたが、やはりこのBarは2ヶ月前から始めたばかりらしい。で、内装のセンスや店内のレイアウトがあまりにも悪いから、それを全部変えたらしい。ものすごい大変な仕事だったと彼は言う。彼が大家だが、友達と一緒に経営しているとのことだった。TapasはアルゼンチンのTapasがメインで、おばあちゃんから教わった料理なんかを出す。

おいらもタカシ君も料理好き・・・というか、Tapas好きなので興味津々にその話を聞いていると、兄ちゃん・・・そのTapasをおごってくれるた。物欲しそうに指をくわえる子供に、食べ物を恵んでやるように・・・。

現金といわれたらそれまでだが、やっぱこのBarは最高だ!雰囲気(音楽等も含めて)もいいし、Vinoは安くて旨いし。帰国まではずっと通う予定。でもって、このBarはちょっと秘密のBarにする。帰るまでに会った人はもちろん連れて行くが、サイトには載せる予定はなし。あとはメールだけだな・・・。

1本目のVinoを飲み終わったし、彼にも迷惑がかかるといけないので、河岸をかえることにしたそのとき・・・突然の大雨。まるで、うちらに行くな!と言ってるかのような突然さ。

Vinoは空。外は大雨。八方ふさがり。

お「ねぇ・・Vinoもう一本頼んじゃう?」
タ「え〜〜でも悪いよ〜彼に・・・」
お「でも・・・外でれないよ・・・」
タ「う〜ん」

なんて会話を日本語でやっていると、その会話がわかっていたかのように兄ちゃん

A「もう一本いくか?」
お「ええ、いいの?」
タ「ありがと〜!」

ってことで、Vino二本目ゲット〜!Ribera del duero〜〜!

この2本目のVinoを飲み始めたところで、日本からValenciaに遊びにきていたHさんからタカシ君に電話が入る。なんでもCarmen側のBarで飲んでいるという。タカシ君は昨夜も彼らと朝近くまで飲んでいたらしく、顔見知りもできたということで、おいらもついていくことにする。

まだたっぷりあるVinoをまったりと飲み干し、適当に良い気分になったところでArgentino Barを後にした。


雨で濡れた道をKristin号とバッファローマン号で疾走。その途中・・・

タ「いてぇ〜〜〜〜!!!!!!
お「え???え???え???」

前を走っていたおいらは慌てて後ろを振り向くと・・・

タカシ君転倒・・・

5、6m前にいたおいらは自転車を倒し、タカシ君の元に近寄る。それまでタカシ君は「もうどうにでもなれ!」と投げやりに寝ころんだまんま(笑)

いや、笑い事じゃなくって、かなり派手に倒れたっぽい。受け身をとるとかそういう感じではなく、思い切りたたきつけられた模様。足を引きづりながら立ち上がるタカシ君。服は濡れた道路のせいでびしょ濡れ。

どうも、何もないところで滑ったらしい。酔っぱらってではなく(botella一本ずつくらいしか呑んでないし)普通に滑ったといった感じ。スペインの道は場所によってはかなりよく滑るから・・・。

ペースを落としてとりあえず着替えにタカシ邸へ。バッファローマン号はPISOに置いて歩いて目的地へ行く。おいらはもちろんKristin号で行く。

Barにはそれはもうたくさんのたくさんの日本人がいた。うちら2人を抜いて、8人もいた。おいらにとってはもちろん全員がほとんどお初状態。うち4人は観光できているので当然だが、中にはValencia3年目の女の子(オノ・ヨーコっぽい女性であった)や、1年以上こっちにいる男の子も混じっている。なんか新鮮な気分でいっぱいになった。

Agua de ValenciaのJarraを飲み終えたところで、観光客の二人が帰ることになる。それを機に一次会は解散。オノ・ヨーコさんはここで帰宅。宿まで2人を送っていき、残った7人でBarrio cincoへ。うちから一分の場所。ありがたや、ありがたや・・・。

Barrio cincoはアイリッシュ PubなのでCerveza・・・いやbeerを呑みながら談笑。様々なタイプが組み合わさってるので、聞いているだけで十分面白かった。

ここで、前に一度顔はみたことがあったが、今回初めてちゃんと話をしたN県出身のD君とタカシ君も含めて明日また軽く呑むことを約束し、4時頃解散。

タカシ君は猛烈に腹が減っているとのことで、うちの冷蔵庫に残っているひじきのお稲荷さんを目当てにやってくる。

お稲荷さんだけではなんだろうな〜と、丼より小さいが大きめの茶碗にご飯をたっぷりいれて、残っていたひじきもセットで出すと、貪るように食べ始めた。

この3次会の話のテーマは「若気の至り」

二人のやってきた「若気の至り」についていろいろ語り合う。いや〜でてくるわ、でてくるわ、「若気の至り」。おいらもタカシ君も。特にタカシ君が語ってくれた「Malagaの話」は興味深い話で、1人「へぇ〜へぇ〜へぇ〜」って感じ。

おいらとタカシ君は違うと言えば全然違うが、似たような性格やポジションになることも多く、共感を持てる部分が多い。

その後、例のごとく、本音トーク。毎度のことながら楽しい一時だ。ここまで一緒に本音トークできる人間はそうはいまい。言いたい放題いいちらかす。まとめ役はなし。

相変わらず、黙々とひじきを食べるタカシ君。見ていると、「全部食べちゃ悪いな〜」というのが伺えるが、止まらないらしい(笑)。

タ「なくなっちゃうけどいい?」
お「うん・・・どうぞどうぞ・・・」

彼がちびちび食べていたタッパーにはいったひじきはこうして空になった。

酔いが回っていたのか、タカシ君・・・大いに語る。何か疲れや憂さを晴らすように語りつづける。それは、どれもこれも、これまで聞いたことのないような話だった。


その熱い語りが終わったのは朝の9時。

矢吹ジョーみたいに、真っ白になりはてて、今日打撲した足を引きずりながらエレベーターに消えていった。

「あ〜〜〜寝ないでバス乗らないと・・・」

とぼやきながら。


人ってやっぱり面白い