一陣の風

もう、なんか、心なしか悟りの境地にきてしまった気がする。

「きっと何かを考えたらダメなんだ・・・意味付けとかいらないんだ・・・」

心の中はすきま風〜北風小僧のカンタロ〜♪

酒を呑むことさえも忘れてしまいそう。案外、洗脳って簡単かもとさえ思う。

まぁ、いいや。とりあえず、金曜日は呑む。ムリクリ、定時に帰ってやる。博多のセニョーラのところにいくんだ〜!!!

さて、今日はちょっとがんばってみた。いや、がんばったってほどのことでもないが、動いてみた。

石積み場の同僚を昼飯に誘ってみた

先日、うちの石積み場では初めてと誰かがいっていたくらい珍しいらしい打ち上げというなの飲み会があった。そのときに、うちの石積み場のお通夜みたいな雰囲気にたいして、おいら以外も「なんとかしなくては・・・」と思っていることが判明したことは先日の日記でも書いたような気がする。

で、おいらが初めて電話番号を交換した。

のっけから脱線するが、日本ではメールを聞いた方がいいのに、スペイン時代の名残か電話番号を聞いてしまった。電話なんて相当仲良くても滅多にかけない人間だというのに。あとから後悔した。

その彼に「今度昼飯食べましょう」と言われたので、こちらから誘ってみたのだ。

おいらと彼の席は、それほど広くない石積み場だが、対角線上にあるため一番遠い席。普段組んで石積みをするわけでもなく、相手が隅っこの方だから、まずそんなところを歩くこともない。そこへきてコミュニケーションのなさ。

昼飯誘うだけだというのに、そこにはファイアーウォールよりも分厚い、目に見えない壁があるのだ。

どれくらい難しいかというと、片思いの子に突然告白するよりも難しいといっても過言ではない。

おいらの昼飯タイムである2時半間近になって、今日はあきらめるか・・・昼飯食べるだけなのに・・・と忸怩たる思いで仕事をしていると、神のいたずらか、それと試練なのか・・・昼飯を食べるだけなのに・・・彼がおいらのそばにやってきた。

勇気を振り絞って・・・昼飯食べるだけなのに・・・・きわめてさりげなく・・・そう、片思いの女の子に街角で偶然であってしまったフリをするかのように・・・昼飯を食べるだけなのに・・・伸びをしつつ振り向き・・・

「昼飯食べよう!」

っていってみた。

いや〜、片思いの女の子に告白するくらい・・・ってさっき書いたけど、もっと緊張したわ。このスペイン人のおいらが。っていうか、相手が男じゃなかったら、初々しくて自分がかわいく思えるが、しつこいようだが、を、たかが昼飯に誘うだけの話なのだ。

おいらのその台詞にたいして、彼は小声で返事をした。

たかが昼飯に誘うだけなのに!!!!!!!!!!!

別に誰かが怒るわけでもないし、悲しむわけではない。どちらかというと・・・いや、どちらかとかそういう問題じゃなくて、いいことなのに、なぜか二人とも小声になる。密会じゃ、密会。

石積み初めて3ヶ月を超したが、おいらはうちの石積み場で、誰かが誰かを昼飯に誘っているのを一度も耳にしたことがない。別に「一緒に食べなくちゃいけない」っていってるわけではなく、毎日じゃなくっても、たまには誘ったりするんじゃないのかね〜同じ場所で何時間もともに石積んでいるわけだし。

何かがおかしい。何かが。だけど、あまりに基本的なことすぎて、何が原因なのか皆目検討がつかない。ポーカーみたいに、「よっしゃ〜〜〜!!!5枚全取っ替え!!」みたいなことができたら、すぐにでも取っ替えてしまう。それか「リセットボタン」

まぁ、いいや。

昼飯を食べるだけなのに・・・わざわざ都合を合わせて約束した2時半に下に下りる準備をすると、打ち合わせ中だったためかもう少しかかるといわれる。まぁ、下で煙草でも吸うことにした。

5分後、彼が下りてきた。なにやら手に変な袋をもっている。明らかに不自然にふくらんでいる。

おいらはどこかで昼飯を食べながら、うちの石積み場の内部事情やら人間関係やらを聞き出し、この「お通夜」・・・賽の河原と隠語を使っているが洒落になっていない気がしてきた・・・の原因を見つけ出そうと思っていたのだが・・・

男「こっちですよ」
お「え?なに食べるの?」
男「弁当です」
お「あい?弁当???」
男「どこで食べるんです?」
お「いや、どこでもいいんだけど・・・」
男「今日は天気もいいし・・・」
お「あ〜〜はいはい!OKOK。その辺で食べるってことね」

本気でびっくりした。

まさか約束して弁当買いにいって、石積み場に戻って食べるのかと思ったよ。

かなりネガティブになってるな、おいら・・・。

男「で、これやりましょうよ」
お「これ?この袋が?なに入ってるの?」
男「これです」

サッカーボールであった。

男「運動不足で・・・」
お「いや、いいけど・・・いつも持ち歩いてるの?」
男「いや、最近ですよ。月曜日から。」
お「ほほう・・・」
男「運動したいんですけど、一人で蹴ってても面白くなくって・・・」

サッカーか・・・おいらの内部調査の任務が!スパイ活動が!!

と考えたが、まぁ、最初だしOKということで、弁当を買って公園に行くことに。

おいらはてっきり右よりな神社でサクラでも見ながら食べるのかと思っていたが、近くにかなり大きい公園があるというので、後ろをついてゆく。

おいらが買った弁当は「チキン南蛮弁当」。480円なり。

ちなみに弁当屋にいくと、なぜかいつも「鶏肉系」を頼んでしまうのはいったいどうしてなんだろう。


10分歩いたか歩かないかで公園に到着。

サクラがものすごい咲いていた!

いや〜癒された癒された。でかい公園とはいってはいたが、所詮都心なので微々たるもんかと思っていたが、まるで段々畑のように公園が階段で続いていて、総面積的には結構ある。

この段々畑のおかげで、一番下の公園に植えられたそこそこ大きなサクラの木が、ちょうどよい高さに・・・手をのばせば届くくらいの高さに・・・のびていて、なんとも風流であった。

近くに幼稚園でもあるのか子供が大量発生していた。まだ日本の子供も・・・東京の子供も・・・公園で遊ぶんだ〜いいことだ、いいことだ・・・と微笑ましくも思う。

この公園は、地元の人や、知っている人は花見に使うようで、煉瓦やら重しになるような石でシートをとめて場所取りまでしてあった。

まぁ、サッカーしなくちゃいけないし、しみじみしてないで、ご飯を食べなくては・・・と弁当を開く。

ここの弁当屋の弁当は少々変わっていて、一つの弁当箱の中にご飯とおかずが入っているわけではなく、おかずはおかずで丸い弁当箱に、ご飯はご飯で同じ丸い弁当箱に・・・という形になっていた。

まずは、おかずの弁当箱をあけてベンチの上に置く。そして、次ぎにご飯の蓋を開けようとしたとき・・・

一陣の風が吹いた。

ちょっとした突風だ。

鞄が邪魔して少々不安定なところに・・・弁当にとったら断崖絶壁みたいなところに・・・おいた弁当がずり落ちようとする。

慌てて手を出すおいら。

が、鞄のヒモに手がひっかり弁当吹っ飛ぶ!

転がる弁当。

逆さになる弁当。

具が飛び散る弁当。

手にねっとりついたマヨネーズ。


ぐぬわ〜〜〜〜!!!!!おいらのチキン南蛮が〜〜〜!!!!480円が〜〜〜〜!!いや、ご飯は残ってるから350円分くらいが〜〜〜〜!!!!!!

同僚唖然。

何もおいらは友達になりたくて、わざとお茶目なことしたんちゃうで。本当に落としてん。

というか、日記のネタとしてはいいが、今日のこの時間にいくつくまでのことを考えると・・・そして、初めて弁当を食べる相手の目の前で・・・これまでの人生で、こんなお茶目なことした思い出なんて一つもないこのおいらが・・・この日、この時間、この場所で・・・ここまでお茶目なことをするとは思いもよらなんだよ。

やっぱり、神のいたずらだ。いや、試練だ。

はっきりいって、おいらよりも彼の方がかわいそうである。初めて飯食べた相手が、目の前で弁当をぶちまけ、手にマヨネーズつけて、それをペロペロとなめているのである。

なかがよければ「バカだな〜」とか「あ〜あ〜もったいない!」とか、なんかしらリアクションがとれただろうけど・・・本当に唖然としていた。

心から申し訳ないことをした。

だが、そこは気さくでお茶目な年上のお兄さんさ〜。何事もなかったかのように、照れ笑いだけして・・・いや、たぶん情けなくて穴に入りたかったんだと思うが・・・一番近いコンビニを聞いて、新しくお弁当を買いに行った。

が、困ったことに、白米はまるまる残っていたため、弁当を買うに買えず、そして、教えられたコンビニはコンビニというよりは・・・なんていうか、個人経営の・・・コンビニもどきみたいな場所であったため、普通のコンビニみたいにおかずだけというものがそろっておらず、なんとか鶏の竜田揚げと、きんぴらゴボウを探しだしてそれをおかずに白米をかっくらった。

今日した世間話を少々。

男「最近太ってきてて、本当にヤバイですよ!」
お「・・・そのやせ方で何を言ってる!」

どうみても彼はおいらよりも10kgは少ないと思われる。

男「やっぱ年のせいもあると思うんですよね〜」
お「・・・その年で何を言っている!」

彼はおいらよりも6才くらい下。

食後、そんなおいらと彼はサッカーをした。

男「股抜きされすぎですよ・・・」
お「うぬ!足が長いからだ!」

8回くらい股下にボールを通された。

のんびりパスして遊んだり、抜き合いをして遊ぶ。食後の残り時間30分ほどではあったが、なかなか良い運動になる。汗も結構かいた。

そういえば、煙草を吸っていなかったことを思い出し、ベンチに座ってサクラを見つつ煙をくゆらす。

隣で、まだハァハァいっている彼。

お「若いのに・・・運動不足やの〜」
男「若い頃運動していた人はやっぱり体力ありますね〜」
お「違う!これはスペインで歩いて鍛えたんだ!」

最後になんとか彼に勝てた気がした。っていうか、飯食いに行った趣旨間違えてる気がする。

「まぁ、今日が第一歩!また、サッカーしてやる!弁当落とさないでやる!」


と気合い十分で返って黙々仕事。9時半まで。

人が減った石積み場で、なにやら上司格の二人がなにやら話している。

男1「彼の最後の日・・・なんかやるの?」
男2「いや・・・わからないけど・・・仕事ギリギリ終わるかどうかだしね」

彼というのは、その場の内容で、うちでもっとも仕事ができるデザイナーの人間のことだった。なんと、彼・・・金曜日にやめるっぽい。ついでに書いておくと、おいらと同じような仕事をしている人が一人最近腰を痛め休み、そのまま、無断で欠席しているとかしていないとかで(それは今日飯喰った彼に聞いた)、もしかしてこのままクビになるとかならないとか。

上司とおいらを含め5人で回していても、いっぱいいっぱいの量のデザインの仕事だというのに、ここに来て2人もいなくなったら絶対無理!!!!というか、おいら、まだやめる彼レベルの仕事はできない。できるはずもない。物理的に無理。CSSとかJavascriptとか、そんなにすんなり書けるわけじゃないし・・・。

なんか・・・この石積み場・・・あと3ヶ月も待たずしてやめそうな気がする

耐えるところな気がしないでもないのだが・・・耐えるべきなんだろうけど・・・これ以上忙しくなったら、本当に虚無僧になってしまう。

まじで不安。

金曜日はやけ酒決定。ついでに現実逃避のため、京都の打ち合わせでもするかの〜。


追記
どうせなら、女の子・・・贅沢いえばカエラちゃんみたいな子・・・と昼飯食べてぇ〜よ。なんていうの、そういうの・・・オフィスラブっていうの?ラブ要素いらないから、こう・・・ドラマとかでやってるようなヤツやってみたいよ。うちじゃ望むべくもないけどさ〜。うぐむ。