ブルータス!おまえもかっ!〜スペインの自販〜
今日もスーツ姿の女の子をよく見かける。それはたぶん我が石積み場「賽の河原」がある三途の川近辺がオフィス街で、いっぱいいっぱい石があるからだろう。
いいわけしているわけではないが、別に女の子ばかりをみているから「よく見かける」わけではない。おいらにとっては、男のスーツ姿は珍しくないのだが、女の子のスーツ姿は珍しいのだ。身近な友達でもスーツを着ている女の子というのはほとんど記憶にない。だから、歩いていると目立つんだと思う・・・たぶんなのだが・・・まだよくわからないのだ、日本の社会が。
で、今日のおいらは彼女たちが何者を知っている。マリちゃんに半分バカにされながら教えてもらったからだ。
先日街を歩いている時・・・
お「さすがに春だからスーツの女の子が多いね〜」
マ「ね〜でも、もう4月だからすごい焦ってると思うよ〜」
お「え?なんで?新入社員じゃないの?」
マ「違うよ〜!なにいってるの〜!!就活だよ〜〜〜!!!」
お「なんでわかるんだよ!」
マ「リクルートスーツだもん!」
リクルートスーツと普通のスーツの差はマナカナを見分けるよりもおいらには難しいのだ。Vinoの味の差だったら多少わかるのに・・・。
お「ぬぬぬ〜〜〜あれはリクルートスーツなのか・・・」
マ「そうだよ!もう4月なのに回ってるってことはまだ見つかってないんだ」
お「え〜〜〜!4月なのに・・・ってまだ4月やん!」
マ「なにいってるの〜4月だともうほとんど決まってる時期だよ!」
就職活動する前にスペインでひきこもり活動をしてしまったおいらは、そんなこともよくわからない。
一応大学終わったあと、いってみたいところ2社だけ受けたが、なぜか大学院に入る方向で決まってしまったからだ。
お「え〜〜〜!でも、4月に終わってても仕事するの来年じゃん!」
マ「そうだよ。」
お「そうだよって・・・おいらのときは2月とかから就活だった気がするけど・・・」
マ「今は普通11月とかから始めるんだよ」
お「じゃ、会社はいるの「再来年」やん!そなアホな〜〜〜〜!」
マ「今はそうなの。おかしいけど、そうなの」
おいおい・・・今の大学生ってそんなに大変なのか?
ヨーロッパだと新卒なんて制度はないみたいだから(あるところもあるかもしれんが)、みな、インターン(スペインではプラクティカスと言う)みたいなので、あっちこっちでバイトしたり、語学留学したりして一年とか二年過ごすっていってた。その間に自分のやりたいこと見つけて、仕事を決めるらしい。
だから、当時27才のおいらがスペインで飲んだくれていても、それなりの「理由」というか、「大義名分」を言えば、
「もう年じゃん!仕事あるの?」
とか
「27にもなってなにやってるの〜」
とか
いわれることはない。逆にまだまだこれから・・・という感じにさえ聞こえる。本当に。
日本でも今は、スペインで言うところのプラクティカスみたいなものがあるらしい。まぁ、おいらも一種のプラクティカスみたいなもんなんだろうな〜。石積みプラクティカス。
というわけで、最近、石積み場をうろちょろしている女の子たちは、新入社員じゃなくって、就活学生なのだ!
また一つお利口になった。
・・・・今日はまったくもって要領を得ない財団オヤジたちの石積みから「ほぼ」解放され、新たな石が運ばれて来た。その石は締め切りが明日とか明後日とかじゃないだけでなく、まだ決まってないという石だったため、鼻歌交じりで(本当に鼻歌うたってたら、前によく担当だった・・・あだ名は・・・カーリーさんに「鼻歌聞こえる・・・」とつっこまれた)石積み。
時間があるので、勉強がてらあ〜でもない、こ〜でもない・・・とまったりデザインする。楽しかった〜。以前はPhotoshopでのデザインなんてほとんどやったことがなかったが(Fireworksで切り出してた)、今ではもうお手のもんさ。ショートカットが光るぜこのやろ〜!統括のクーフーリンさんのPsdデータを見ては盗みまくったからな・・・。
8時には石積みあがれたし、ご機嫌なのでもう一つ書こう。スペインネタ。どちらかというと人にはどうでもいいようなネタだが・・・。
三途の川近辺はオフィス街だからなのか、とにかく自動販売機が多い。もう10m歩けば自動販売機にぶつかるといった感じなのだ。
が、なぜか同じくらい100円玉がちゃんと入らないで戻ってくる自動販売機が多い。
最初はおいらがいない間に、「新100円玉」でもでていて、それが「ギザ十」(縁がギザギザの昔の十円)みたいな差で見た目は変わらないが、その差によって出てきてしまうのかと思っていたが、そんな情報は誰に聞いてもでてこない(本気で聞いてみたりした)。
多いというからには複数あるわけだから、とある一台がおかしいとか、おいらの持っているその100円玉がおかしいというわけではない。なぜか、たまに・・・といっても、5回に1回という頻度で、おつり口に100円玉がでてきてしまうのだ。100円玉を替えたにもかかわらずでてきてしまうことがある。
そんなときおいらはなぜか
ブルータス!おまえもかっ!
と心の中で必ず叫んでしまう。
日本ではどちらかというと、「汚いお札」や「汚い小銭」が「ただいま〜!」って戻ってきてしまう可能性が高い気がするが、スペインの自動販売機はどちらかというと「新しい小銭」が「Hola!!」と戻ってきてしまうことが多い。
余談だが、お札の入る自動販売機はほとんど見かけない。ゼロとは言わないが、そうとうな場所でないとおいていない。
たとえば、駅とか。
余談の余談だが・・・
以前、SantiとMADRIDへ旅にいったときの話。
地下鉄の駅でお札が使える切符販売機をみつけたのでお札をいれてみたのだが、いくら入れても戻ってきてしまう。
「意味ねぇ〜じゃん!」とおいらが騒いでいると、Santiが一言
「マサキ、まだまだ甘いな・・・まだおまえはスペインをわかっちゃいない!」
と不敵な笑みを漏らす。
お「何がだよ〜!お札の自販がほとんどないのは、盗むヤツがいるからおけない・・・とかそういう話?」
S「違う!」
お「じゃ、なんだよ〜!」
S「下手に50euros札で切符とか買ってみろ・・・しかも、1.2eurosとかそんな安い切符をだ・・・」
お「え?」
S「釣りは全部1eurosとか良くても2eurosででてくるぞ!カジノみたいにジャラジャラだ!ジャラジャラ!!!」
お「はぐむ!!!!そ、そうだった!そうだった!!以前barcelonaで地下鉄回数券を自販で買ったら全部小銭ででてきてうめいたことがあったよ!!!」
S「それだ!それ!」
お「・・・たしかに・・・まだおいらはスペインをわかっていなかった・・・天狗になってたよ、Santi!」
S「だから、切符を買うときは小銭がなかったら、絶対窓口で買うんだ!」
お「わかったよ!おいらは生まれ変わるよ!」(←嘘。こんなことはいっていない)
ということで、スペインの自販で仮にお札が使えても、なるべく使わないこと。
「小銭くらいいいじゃん!」とかいってる愚か者はスペインにいくでない!
おいらは確かに煙草を買うために常に大量の小銭を携帯していたが、日本の小銭とがって、向こうのは重いのだ・・・小銭ではなく、大銭なのだ!
2euros5枚くらいなら合理的な気がするが、1eurosが10枚以上になると、重いとかそういう以前に財布から溢れそうになるし、日本から持って行くような小銭いれが小さい財布だと、とてもじゃないけど入りきらず、ポケット行きだ。まぁ、ポケットから小銭をごそごそ出す女の子は個人的に侘び寂びがあって嫌いではないが、実際いろいろと面倒だ。
かといって小銭がないとスペインでは困るので、財布のほかに必ず小銭入れを持つようにするのが大事。というか、財布なんていらん。
スリ対策だ。
日本のおじいちゃんが持っている小さい長方形の小銭入れ(カードくらいのサイズの)に小銭とほんの少しのお札を折りたたんでいれておくのがベストだ。お札は多くて20eurosだろうな。スペインでは50eurosもっていたら余裕で一日生活できる。一日どころか2日は保つ。もちろん、観光で土産をかうとかなら別だが・・・。
って、話が脱線しすぎた。
あまりにスリについて聞いてくる人が多く、いつもいつも口を酸っぱくし返事をしているため、くせになってしまったようだ・・・うぐむ。
で、なんだっけ・・・あ、そうだ。自販・・・自販。
これからBarのオヤジの隠れた仕事というか、特技を説明する。
見たい人は是非とも試してみて欲しい。ただし、スモーカーじゃないとダメだけどな。
先ほども書いた通り、スペインの自販は「綺麗な小銭」が入りづらいことが多い。
しかし、普通の小銭はもっていない・・・でも、煙草は欲しい!!
そういうときは、何度も何度も自販に小銭をいれるわけだが、入れても入れても
「Hola!Que tal?」
「Que pasa!!??」
「para ya!」
と戻ってきてしまう。
そんなことを5回ほど繰り返していると・・・お客があまりいないBarならば、まず間違いなくBarのduen~o(マスター)がやってくる。
マ「おいおい、どうしたどうした〜」
お「これ・・・・(わかってるくせに〜。いけず〜!)」
マ「煙草を買いたいのか?」
お「うん(ほかにどう見えるんだ?)」
マ「ほら、小銭貸してみろ!」
まずだいたいにおいて、duen~o自ら一度、その戻ってきてしまう小銭を入れる。
5回もいれてでてくるわけだから、duen~oがやっても出てくるのが普通だ。
ちなみに、もしここで万が一入ってしまったらGame Over・・・オヤジの技を見るために、また、自動販売機からでてきてしまう小銭を探さなくてはいけない。がんばろう。
たまに、オヤジは二度目も入れてみる・・・またでてくる。
ここでいけずなBarオヤジの場合は、つかつかカウンターに戻って1eurosを数枚もってきて入れてしまう。
これもダメ。Game Over!探しましょう。
しかし、それも実はあまりない。
たいていのオヤジは・・・その1eurosなり2eurosなりを・・・・まるで手品師のように人差し指と中指の二本の指を使って、自動販売機の側面か上面を使ってこすり始める(向こうの煙草の自販は背が低いのだ)。
これがオヤジの技だ。いぶし銀のオヤジが考えて考え抜いて身につけたおばあちゃんの知恵袋だ・・・いや、おじいちゃんの知恵袋なのだ。
たぶん、
「綺麗な小銭」=「入らない」
ならば
「汚い小銭」=「入る」
という方程式といっていいのかわからないほど安易な発想なのだが・・・
それがまた入るのだ。入ってしまうのだ!!!
最初は「うそ〜〜〜〜ん!!!」って思ったのだが、その確率は恐ろしく高いのだ。日本だったら、しわくちゃの千円札・・・角が曲がった一万円札をのばして綺麗にしていれるのだが、スペインでは、傷物に・・・たぶん・・・なんらかの傷をつけて入れるのだ!!!
小銭が無事自販に認識されると、必ずオヤジは、先ほどの切符の話のときのSantiのように不敵な笑み浮かべて
「ほらな!」
というのだ。
なにが「ほらな!」なのか、こっちはよくわからないのだが、彼らは心を読むので、「そんなんで入るわけないやん!」と思っているうちらの心を見透かして、そういうのだ。
そのときの彼はかなり得意満面である。
その笑顔は、一仕事終えた日本のサラリーマンよりもなぜか輝いているのだ。
たかが小銭、されど小銭・・・とばかりに。
一日一善でもした気になっているのだろうか・・・。
このスペインの太陽にも勝つ・・・そして、Barの仕事よりも真剣に働くduen~oの仕事・・・妙技を見たい人は、煙草を吸わなくても、小銭をジャラジャラもってBarへ出かけよう。
そのあと、その煙草の煙をくゆらしながら・・・吸えない人はあきらめて・・・Barのオヤジと会話しよう。
「なんで先小銭入ったの?」
「さぁな。おれにもわからん」
そんな素敵な会話が・・・続かない会話が繰り広げられるはずだ。いや、続かないから、繰り広げられることはないか・・・。
ちなみに、おいらくらいの達人になれば、もうオヤジの手を煩わせることなく、2回ほど入らなければ、自分でBarオヤジになってこすり事なきをえるが、たまに慣れていない人は一生懸命いれようとしているわけだ。もちろん、スペイン人ではない観光客だ(ほかのヨーロッパ人でもこの風習はあるかもしれないが)。
そんなときは、これ見よがし、肩で風をきりながら
「ほれ、小銭貸してみな・・・」
ゴシゴシ・・・ゴシゴシ・・・
ガチャン!
「あばよ」
ニヤッ!←不敵
と、憧れの目で見る女の視線を背に、颯爽と店を出るのだ。
追記
まだ書きたいことあるが、このままかっこよく去ることにする。