「食べる?」「うん!」

今日は特にネタがない。いや、今日もと書くべきか。

石積み場に慣れようが慣れまいが、相変わらず会話はない。ここ数日は一応チームらしいものを組んで石積みしているのだが、届くのは無味乾燥なメールだけ。「お疲れ様です」から始まり、「では、よろしくお願いします」で終わるメール。

ひからびる。唇が・・・。

基本的に人をネタにして日記を書いている身としては、かなりつらいのだが、そのために、せっかく慣れてきた石積み場をやめるのもイヤなので、ギリギリまで粘るつもり。

口が寂しいので、家につくとそのままムクのいる事務所へ行く。

なぜ事務所にいるかというと、あまりにわがままになってしまったため、昼夜問わずふんふんふんふんと甘ったるい声・・・を出すため、軟禁されているのだ。というか、自分がそこがいいといったらしい。

顔はかわいいのだが、おそろしく天上天下唯我独尊なわんこなのだ。

ちょうど良い、ムクの生い立ちを書いておこう。といってもあまり詳しいことはしらない。聞いたままここに書いておく。

ムクは推定3才、口伝5才の成犬。雄犬。なんかチャウチャウ、チャウチャウチャウネンチャウチャウヤネン(書いてて意味不明)が混じっているらしく、毛がふさふさ。でも、体型や顔つきはそのへんの雑種。とても顔がかわいく、散歩の最中にも道行く人に「かわいいわね〜」と言われるくらい、美形な犬なのだ。かっこいいじゃなくって、かわいい方。だけど、唯我独尊な犬。

で、ここまで野良犬で育っていたところを、うちらが拾ったというわけではない。前の飼い主がいるのだが、そいつがマジで鬼畜。いろいろ事情があるのかもしれないけど、まったくの他人なので鬼畜と言わせてもらう。

その飼い主は、引っ越すことになり犬が飼えなくなったということで、ムクは捨てられたのだ。

その捨てられたムクがどのように拾われたのかはよくわからない。その鬼畜の知り合いの方で、素敵な人がムクを引き取ったとか、全然関係ない人がたまたま拾ったとか、まぁ、いろいろ話が流れてきててよくわからんのだ。

とりあえず、「かわいそう」って思った方によって拾われたムクだったが、その拾った人もず〜っと飼うために拾ったわけではなく、誰かもらい手を探すために拾ったようで、その後ムクはあちらこちらを点々とすることになる。

長いと一ヶ月とか、短ければ2週間、場合によっては1日だけ・・・とまぁ、ムクの飼い主は次々と変わっていったわけだ。

預かった人が、自分たちのツテを使ってなんとかムクのもらい手を探そうとしていたようで、最終的に母親かなんかの知り合いのところに回ってきたところで、うちにお声がかかったという次第。

母親からこの話を聞いたとき、母親はまだ迷っていた。以前の我が家は犬2匹、猫8匹とかいて、近所ではムツゴロウ王国よろしく、捨て犬やら捨て猫(猫屋敷といわれていたから、捨て猫が圧倒的に多い)がたまる梁山泊のような性質の家だったのだが、おいらがスペインに行っている間、徐々に猫も犬も亡くなってしまっていて、残すところ、わがまま放題の「おまけ」(雄猫)を残すのみとなっていた。

さらに、両親とももうだいぶ年をとってきたし、老後に自分のことをやろうと思いはじめたのか、猫も犬もおまけで最後というのが暗黙の了解になっていた。

ちなみに、おいらだけは「猫!猫!猫!」と叫んでいるのだが、実際一番面倒みるのがどうしても母親になってしまうため、押し切れずにいた。

おいらからみて、そんな話を聞いてしまった時点で母親の負けだと思っていた。でもって、話を聞いた次の日にその子(ムク)に会いに行くとかなんとか。

その時点で100%うちにくるな・・・ということはわかっていた。

そんでもって、おいらがあっちをフラフラ、こっちをフラフラ・・・遊び歩いておうちに帰ると・・・ムクがいた。名前もすでに決まって・・・。

ムクがどういうふうに育てられたかわからないのだが、おそらくたらい回しにしたためか、猜疑心が強いにもかかわらず、その反面、おそろしく愛情に飢えていた。だから、数日もたたないうちに、彼のそばに一度よってしまうと、彼の気が済むまで面倒をみなくてはいけないという、とにかく手間のかかる犬ということがわかった。もし、そばを離れようものなら、あの犬が甘えるときにあの独特の「くぅ〜〜〜ん!くぅう〜〜〜ん!」というのが一晩中響き渡る羽目になる。そして、それでもダメだと、その辺にあるものを手当たり次第に噛み破るのだ。すでにうちにやってきて数枚のタオルが無惨にも切り裂かれた。

ムクにとって、たらい回しにされるのと、一所に留まるのとではどちらが幸せなのかしらないが、うちは自営業で、共働きなので、一日中面倒をみることなどはできないのもあって、とりあえず、うちの・・・特に母親のペースを知ってもらわなくてはいけない・・・ということもあり、事務所軟禁となった。というか、ムク自身、二階の犬小屋(以前ももとこももがいた場所)だと、くさくさしてくるらしく、事務所がいいと言い出したらしい。

事務所での生活はおそらくムクにとっては楽しいに違いない。常に誰かがいるし、しょっちゅうお客さんがきてはかまってくれるので、意外と早く我が家には慣れた模様。ただ、夜は寂しいのか、たまに「くぅ〜ぅん、くぅ〜ぅん」が聞こえる。

まぁ、そんなわけで、おいらも早く顔を覚えられようと、また名前を呼んだら振り向いてもらえるようになろうと、珍しく事務所に顔をだしてみた。

ママンの旅行中、おいらが散歩していた成果か、扉を開けて入るなり、しっぽをものすごい勢いでフリフリしたムクが走り寄ってきた。なんかうれしい。

小腹が減っていたので、ムクはひとまずほおっておいて、お客さんの誰かが飼ってきてくれたのか、京都のお菓子がおいてあった。初めてみたお菓子なのでよくわからんが・・・「茶」と「禅」と「味」という感じが書いてある。読み順がわからん。真ん中には「日」?「伯」?という字と、「路」と書いてある。屋号は田丸なんとか。なんども京都いってるが初めてみた。まぁ、それはいい。

で、それをぼりぼり食べていると、ムクがものすごい勢いで近くによってきた。

「もしや、おまえ、これの味知ってるのか?おいらも知らないのに、おまえは知ってるのか?お客の誰かがくれたのか?それとも前の飼い主が京都人だったりしたのか?eh?」

とムクに話しながらもぐもぐ食べる。

一心においらを見つめるムク。

「欲しいのか?これ・・・」
「うん!」(コクン)
「???」(目を疑う)
「ムク!これ欲しいのか?」
「うん!」(コクン)
「!!??」
「これか!これが欲しいのか!」
「うん!」(コクン)
「!!!」
「パパン!パパン!ムクが!ムクが!!!人語を解するよ!!!」
「なにいってるんだ・・・」
「いや、まじでまじで、ちょいみてみぃ〜。」

「ほら、ムク!Venga!これ欲しいのか?うなずけうなずけ」
「・・・・」
「うなずかないじゃん」
「ばか、ドリフみたいなことするな、ムク!うなずくんだよ!」
「ムク!これ、欲しいか?」
「うん」(コクン)
「ほら、今のみた?みた?」
「みたけど、それくしゃみじゃないのか?なんか今日くしゃみばかりしてるし」
「違うって!『欲しいか?』っていうと、うなずくんやもん!」

誰も信じてくれないが、おいらはその後も、ムクをひたすらうなずかせて楽しむ。おかげで、自分はほとんど食べれなかったが・・・。

ついでに、遊び半分で、その京都銘菓を宙に放り投げてみたのだが・・・意外なことに、ムクは器用にそれをジャンプして食べる。

「お、おい・・・・おまえ・・・なんかえらいたいそうなことができるんだな〜。ももとかこももはその手の芸はせんかったぞ。お手とお座りくらいで・・・」

その後、何度か投げ食べをさせてみたが、10回に7回くらいはしっかり食べる。ちゃんと弧を描いて投げたやつは100%の確率で口にいれる。

う〜ん・・・もしかしてムクは以前かなり遊んでもらっていたのではないだろうか・・・その鬼畜かどうかは知らないが、あのおいら並の『遊んで遊んで光線』や、今回のうなずきといい、投げ食べ(正式名称しらん)といい・・・。

ムクに関しては謎が深まるばかりだ。


最後に雑多なことを少々書いておこう。

石積み場のすぐそばにある、スペインの国旗を入り口のところにど〜〜〜んと貼ってあるお店が「Rakli」という名前であることが判明。その瞬間、この店が「スペイン料理屋」ではないことに気づいてしまってちょっとがっかり。

だが、「まだわからん!!もしかして、カタランとかバスク語かもしれん!」とネットで検索してみたのだが・・・やっぱりスペイン料理屋じゃないっぽい。

どうやら、男性にはもってこいの量が売りのお店らしい。Paellaはあるらしいのだが、行った人のBlogなんかを見てると、ハンバーグ、ビーフシチュー、パスタ・・・という単語がしばしば目にはいってきた。スペインにハンバーグやシチューやパスタがないわけではないが、もしメニューに訳ではなく、メインとして「ハンバーグ」、「ビーフシチュー」と書かれたいたならおしまいだ・・・。

でも、スペインの国旗が貼ってあるくらいだから、もしかしたらスペイン好きかもしれない。とりあえず、ダメもとで近いうちにいってみよう。その前に、渋谷のお店に行く。さらにその前に、恵比寿にあるというお店にいくかもしれない。まだわからんが。


スペインへの思いがようやく良い感じで落ち着いてきたため、久しぶりにmixiに入る。数ヶ月ぶり。帰国前に拓也(弟)に紹介されはいってみて、とにかく手当たり次第にスペイン関係の人間を紹介しまくったのだが、散らかすだけ散らかして、帰国後はmixi経由のメールがたまに来たときくらいしか、入らないという状態だった。

で、どうなってるもんだろ〜と、自分が作ったコミュニティーをみてみたところ・・・びっくりすることに「スペインのひきこもり方」の参加者が200人を超えていた。

う〜ん、親が居なくても子は育つのね。

怠けてばかりのおいらの代わりに、ほかのスペインに詳しい方々が、質問には答えていてくださったようで、書き込み数こそ少ないが、存続していた。いや、おいらが消さなきゃいつまでも存続するのか・・・。

申し訳なかったのが、おいらの代行手続きでコスタへ入った子が書き込みしていてくれたこと。3ヶ月前くらい。お返事せず。メールだったらすぐに返すのだが、mixiではまったくもって返事はしていない。

というわけで、昨日からmixiをちゃんとチェックし、迷えるスペイン好きを正しく導こう(笑)と思っているのだが、一体全体いつまで続くことやら。

先日長尾と話したが、おいらの人生はカスタマイズしすぎたため、もうノルマルには戻れないらしい。カスタマイズ一度してしまうと、たとえそれが保証期間内であっても返品がきかないのだ。というわけで、カスタマイズしてしまった人は、カスタマイズしつづけなくてはいけないのだ。

そういうことらしい。

なんか、犯罪者のようないわれようだが、間違ってないような気がしないでもない。

血迷ったあげく、アイルランドに英語の勉強でもしにいこうか・・・ということを思いつく。

スペイン人の次ぎは、ケルト人に自分をカスタマイズ。

今度日本を離れるときは、石積み探しだろうな〜。どっかにコネクション落ちてないかね〜。