El Abrazo Partido

Masaquito2006-09-09

朝。

お「なんかくいもんある?」
母「昨日の焼き鳥があるわよ」
お「・・・・二日続けてかよ・・・」

朝から焼き鳥を食べる。「残ってるご飯も食べちゃってよ」といわれ、心ときめく「焼き鳥丼」にしてみたのだが、これが大失敗。朝からおえっぷってなる。

マリちゃんから電話が入る。寝ぼけ眼で電話をとる。

マ「決まった〜」
お「え?」
マ「今決めたところ。」
お「はい?」
マ「引っ越し先・・・」
お「え〜〜〜!マジで?家の中みれないのに?」
マ「うん」
お「あんさん、明日3つくらいナイケンがどうとかこうとか」
マ「でも決めたの」
お「今どこにいるの?」
マ「申し込み書書いてる」
お「・・・・」

日本で一人暮らしをしたことないおいらには、全く持って理解できないのだが・・・「なぜ家の中をみないで自分の住む家を決められるんだ???」

「衣食住」とはいうが、おいらの中の優先順位は

住>>>>>>>>>>食>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>衣

という感じ。

新築でまだたててるから見れないとか、人が住んでるから見れないとか・・・まぁ理由はいろいろあるようだけど・・・・おかしいでしょ。

スペインで家を探す場合、基本がCompartir(ルームシェア)になるのだが、張り紙をみて電話で予約して、その住むかもしれない家に行く。そして、人が住んでいようが、住んでいまいが、中を存分に見学できる。

出て行く人間としては、そこの部屋を借りてもらわないといけないので(契約が切れる場合はあてはまらないが)、まだ自分なり他の人が住んでいるが、部屋の中を案内してみせてくれる。

それが普通な気がする・・・。

日本でも、出て行く場合、大家なり不動産会社が連絡して一日あけてもらい部屋の様子をみせてもらったり、質問してりできればいいのに・・・。

さすがに突然行ったら困るだろうけど、日時を指定すれば掃除くらいできるだろうし・・・。

無理なのか?日本ではありえないのか?

なんか外見だけ見て決めるというのは不思議だ。日本の不動産の場合、敷金礼金とかがっつりとってるし、ちゃんとしたところに頼めば、その辺は「信用」の問題になってくるんだろうか?

まだ一人暮らしは予定していないが、自分がするときにはちょっと不安だ・・・いや、ちょっとどころじゃないかも・・・。

そういえば、あらぽんも最近引っ越したけど、どうやって新居決めたんだろう。


映画をみた。感想。

【僕と未来とブエノスアイレス4.5点(5点満点) スペイン語わかりやすさ度:6
公式サイト:僕と未来とブエノスアイレス

アルゼンチンの映画。監督は32才のポーランドユダヤ人。

すべてが絶妙な映画だった。ここまで良かった映画は久しぶりで、見終わったあとしばらく小躍りしてしまった。歌はもちろん『安息日の歌』(勝手に命名した)

うまいVinoを呑んだあとの余韻みたいなものがある。ストーリーも、登場人物も、見せ方も、挿入歌も、終わり方も完璧。「素敵」としかいいようのない映画。

あらすじとかは公式サイトを見てもらうとして、感想だけを書き殴る。

まず「登場人物」が誰も彼も最高。味がありすぎる。老人がかなり多い映画なのだが、もう渋い!渋すぎる!!ヨーロッパの男は、年を経れば経るほどかっこよくなっていくイメージがあるが、アルゼンチンのじいちゃんたちはかっこよすぎる。特にジャン・レノっぽいお父さん。ちょっとしかでてこないのに、あの存在感はなんなのだ!お母さんもおばあちゃんもふとした時の表情や仕草が猛烈にかわいらしい。映画が進むに連れて、そのかわいさはよりいっそうます。ガレリアというブエノスアイレスの小さな商店街が舞台で、登場人物は結構多いのだが、どれもこれも一癖あり、ほとんど苦にならない。ラモンあたりが、先日みた「チャーリーとチョコレート工場」のウンパ・ルンパにみえてしまい、妙に気に入ってしまった。フウテンの寅さんみたいな兄ちゃんもいいし、アリエルと仲の良い友達もなかなか。韓国人夫婦も出番は少ないのだが、なぜか印象に残っているし、アリエルの昔の恋人は、「深津絵里」+「ビョーク」みたいでおいら好みであった。批判は多そうだが・・・。

基本的にこの映画は音楽がさほどながれないで台詞が唯一の音という感じで進むのだが、場面場面で流れる音楽がすごい印象的だ。「Piedras」(靴に恋して)の雰囲気にとても似ている感じがした。サントラは甲斐でしょう。孫と一緒にさらなる成長を見せるおばあちゃんが歌う「安息日の歌」(しつこいようだがおいらが勝手につけた名前)は、一度聞くと頭から離れない。しばらく口ずさむことうけあいだろう。

映画で、途中まで良かったのに、最後がイマイチ・・・というのはよくある話だが、この映画は終わりも完璧。もういうことなしの終わり方。そして、その終わりに行くまでも、余計なことはいっさい言わない。武士の世界に通じるものがあると思う。

これも映画ではよくあることだが・・・とくにハリウッド映画とかではありまくるのだが・・・「おいおい、おまえそこでそれいうの?」とか「なんねん、その説明口調は!」とか「あ〜あ〜それの台詞ですべて台無しだ・・・」っていうやつ。

言わずもがなのことをわざわざ台詞にして言わせる、あの無駄がこの映画にはいっさいない。ストレートにぶつけられる感情だけで、「うんうんうんうん」となる。台詞にならないから当然、見ている人の主観で補われることになるわけだが、そこがこの映画のいいところだろう。もうなんていうのかな・・・侘び寂びの世界。

ポーランド人になりたい20才の主人公の若さがゆえの苦悶や葛藤。それを乗り越えて成長していく過程を表現しつつも、彼よりも数倍年を経ているママン、パパン、アブエラまでもが、一緒に成長していく。もう70はいってるであろうおばあちゃんが、主人公のアリエルに「どうやって人生を生き続けてきたの?」という問いかけられて、答える「todavia no lo se」(まだわからないわ)は、もう感動しすぎて、目頭が熱くなった。

監督は32才とおいらと一つしかかわらないというのに、なんなんだこの差は・・・。これって「ユダヤ人」ってところが関係しているんだろうか?ユダヤ人の歴史が好きでいろいろ本は読んできたが、彼らにはなんとなく「黙して語らず」的なところや、なんとなく『暗喩』めいた表現が多いが(旧約聖書もそうだし)、この映画もたぶんにそういうところが見える。勝手な想像なのだが・・・。

この映画で唯一欠点をあげれば、誰がつけたかわからない「邦題」。「僕と未来とブエノスアイレス」という題。もう最悪。こんな題つけるんだったら、そのまま現代の「El Abrazo Partido」とか「エル・アブラソ パルティド」とかで全然いいと思う。意味がわからなきゃ、辞書引けばいいだけだし。ちなみに、Abrazoは「抱擁」。Partidoはこの場合「引き裂かれた」というニュアンスだろう。まぁ、とにかく、このタイトルじゃ、誰も借りん!借りるかもしれんが、おいらは不満だ。「ブエノスアイレス」なんて単語、入れる必要ないやん。

とにもかくも、最高の映画であった。5点満点つけたいくらいだが、まだまだ映画をみる機会はあり「todavia no lo se」なので、おそらく過去最高の・・・いや、点数をつけ始めた当初はよくわからず高得点をつけていたこともあるだろうから、過去最高に近い4.5点。

しばらく会う人会う人に勧めそうな映画。これはDVD、サントラともに買いそろえたい。

スペイン語の方は、わかるところとわからないところがごちゃ混ぜ。テンポが違ったり、スペイン語から遠ざかってるのもあって、台詞を聞こうとすると集中しなくてはいけなくなり、字幕が終えなくなってしまう。なぜかおばあちゃんのスペイン語が一番聞き取れた。ナレーション部分は口の動きが見れないから、大まかなところしかわからず。vos、vosいってるのが南米スペイン語っぽくて印象的ではあった。

もう一度、うんまいVino片手に見たい映画だ。

あ〜なんて素敵な映画だったんだ!

追記
デザインと最近のWEB事情の勉強をちゃんとしようと、本屋で大量の本を購入。おいらも成長してやる・・・・。