蝋燭

電気代を節約するというのがヨーロッパでは基本なのだろうか・・・蝋燭を良く使う。留学当初は同居人が電気もつけずに、蝋燭を一つだけともしてテレビをみているのをみて「なにやっとるんじゃこいつ・・・目悪くするんじゃないか?」と思っていたが、真似して蝋燭を買ってきて、電気をつけずに蝋燭で生活していると、目に優しい蝋燭の灯火に徐々にはまった。

スペインに限らず、今回いったチェコハンガリー、ドイツなんかでも蝋燭はよく使われている。ドイツのとある店では、昼間なのに蝋燭に火をともすところもあった。もしかしたら天井の高さ(日本の家屋よりもあちらは天井が高い)とかも関係してくるのかもしれないが、数多くともせば十分に明るくなるし、レストランだったら雰囲気作りにも一役買ってくれるので、なるほど納得・・・とうなずける。

おいらもスペインの部屋で誰かと呑むときは、よく蝋燭を使っていた。なぜか酒がすすむし。蝋燭のタイプはいろいろあるのだが、IKEAとかでも買える2cmくらいの高さの丸い蝋燭を常備していた。入れ物は雑貨屋に行けば、いくらでもかわいらしいのはある。

先日、ふと部屋の片付けをしていたら、だいぶ前に買って忘れていた大量の蝋燭がでてきたのと、Santiago de Composteraで訪ねたロマネスク教会で赤くぶっとい蝋燭(教会なんかで良く使われているヤツ)を50centimoで買ってきたのもあって、最近はすっかりまた蝋燭生活になってしまった。

とても落ち着いた気分になれるのが蝋燭のいいところなのだが、金曜日にそれをやるとえらく切なくもなることが今日判明。「生まれてきてごめんなさい」モードに突入。

呑みに行くか・・・と考えたところで、日本は「急な誘い」に弱い国。夜の9時過ぎに誘うだけ無駄なのもわかっている。こうなったら映画しかない。てなわけで、今日も映画。


【MATANDO CABOS】(カクタス・ジャック


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【点数】2.7点(5点満点) 【スペイン語のわかりやすさ】7(最高10)

【制作年】2004年 【制作国】メキシコ 【監督】アレファンドロ・ロサーノ 【公式サイト】こちら
【キャスト】トニー・ダルトン、クリストフ、ペドロ・アルメンダリス、アナ・クラウディア、ロシオ・ヴェルデホ、グスターボ・サンチェス・パラ、ラウル・メンデス、ホアキン・コスオ

【感想】

まずはあらすじ。この映画もどこまで書いていいのかわからんから、gooのをパクらせてもらう。

青年ジャックの目の前で、ひょんなことから恋人の父親であり、街の実力者として恐れられているカボスが気を失ってしまった。しかもジャックが助けを求めに外へ出ている間に、カボスに恨みを持つ掃除係のチーノが、カボスのスーツや時計をはぎ取って外へ出た。友人を連れて部屋に戻ったジャックが目にしたのは、下着姿のカボスだった。一方、そんなことは露知らず、カボスを誘拐しにやってきた2人組は、まちがえてカボスの服を着たチーノを襲撃し、拉致してしまった…。

この映画・・・おいらが借りたものではないのだが、映画感想サイトでとても評判がよく(おいら自身は映画を見るさい、前知識は全く入れない)、タランティーノっぽく、さらには最近あたりの多いメキシコ映画ということでみてみたのだが・・・。

なんか微妙な映画だった。おバカ映画(単純な娯楽映画)なので、ストーリーに無理があるとか無粋なことは言わないが、どうにもこうにも詰め込みすぎ。そして、盛り上がるまでの前半が冗長すぎ。でもって、コメディー要素の部分で全く笑えない。とまぁ、感想書くにも困った状態だ。

娯楽映画なのはわかるが、欲張り過ぎな気がした。映画で見所となる派手な部分が多すぎるし、コメディーあり、サスペンスあり、アクションあり、血あり、歌あり、恋愛あり(?)、多少のエロあり・・・と忙しい。もう少し削れば面白かったような気がする。前半が冗長な分だけ、とにかく後半が忙しい。

タランティーノっぽいという評価もわからんではないが・・・くだらないが細部にこだわった最後の会話シーンくらいで、あとは中途半端。クドクド考えずに見ればなんとかなるが、特にこれといって「ここが良かった!」ってところはでてこない。

だもんで、映画の感想というよりは個人的に気になった点を書いておく。

ボッチャ役のラウル・メンデス・・・動きがとてもゲイリー・オールドマンに似ていた。顔もなんとなく似ているのだが、「え!?何するの!?マジで?」ってなシーンでの彼の演技と重なるのだ。重なるっていうか、真似してるんじゃないかと思うくらい。終盤のジャックの部屋でのシーンは特にそう感じた。

原題はMATANDO CABOSCABOSはキーとなる会社の社長の名前。MATANDOはMatar、殺すの活用。これを日本語訳してタイトル付けするのはかなりしんどいが、なぜ「カクタス・ジャック」?なんかプロレスラーの名前でそういう名前があるらしいが(映画を調べていたら、検索された)、この映画となんか関係あるんだろうか?カクタスはサボテンのことをさしているのだろうが、スペイン語だとカクトゥス。メキシコではカクタスとなるんだろうか?カタカナ表記にするとカクタスになるだけなのだろうか?ちょっと気になる。

あの歌のシーンと、カーアクションのところは必要だったのだろうか?あのカーアクションのところだけでも、メキシコ映画にしてはえらく金がかかった気がするのだが。

スペイン語は結構聞き取りやすい。南米出身の俳優を使っているようだが、なんかスペインのスペイン語を聞いているような気分だった。唯一、ジャックの彼女のスペイン語だけは、メキシコっぽかった。ただ、おいらも南米にいったことがなく、知り合いとほかの映画から判断しているため、正確なところはわからず。メキシコシティーの友達のスペイン語はかなり聞き取りやすかったので、都心出身の人はメキシコ人でもわかりやすいのかもしれない。

スペインのスペイン語っぽいと書いたが、メキシコ映画だけあってGuey!(グエィ)とPendejo(ペンデホ)は、ほかのメキシコ映画同様、かなの頻度で使われていた。グエィもペンデホも日本語訳が難しいが、グエィは・・・なんて言えばいいんだろう・・・呼びかけるときのスラングといえばいいんだろうか。おいらの持っているスペイン語辞書にはでていないので、南米・・・あるいはメキシコのみで使われるスラングだと思われる。「(わかってるか?)オマエ」みたいな感じ。いや・・・微妙に違うな・・・。「おまえ」よりも、もうちょっと下品な感じだが、かなり仲のよい友達同士でも使うっぽいので、すでに悪い意味の言葉というよりは、日常的な単語の一つなんだろう。アメリカ人の「Fuckin」も意味がすごいわりには、なんにでも使われるし。あんな感じ。Pendejoは完全に悪口。ただ、悪口の少ない日本では、これまた訳が難しい。辞書だと「卑怯者、卑劣な者、臆病者、ばか者」となっているが、これらの単語を会話中にいれるとなると、日本だと結構難しい。まぁ、そんな感じの意味ととっておいて、あとは映画の実際の台詞の中で置き換えるしかない。

ということで、個人的にはあまりオススメしたい映画ではないが、メキシコのお馬鹿な映画をみたいというならいいかもしれない。ただ、結構、暴力やら血だらけシーンもあるので注意。あとしつこいようだが、コメディー要素は笑えない人には全く笑えないかとも思われる。