メンズ

前回の旅の直前に(2月末)長かった髪をばっさりと切ったのだが、だいぶ長くなって嫌な長さになってきた。ちょうどいとこが髪を切ってもらうというので、おいらも頼むことに。出張美容師のグールさん。

もともといとこがどこからか発掘してきた美容師さんで、フランスとイギリスで何年も修行していたとかなんとか。美容院に行くのが面倒くさく、拓也がいたときは風呂場でいつも夜中とかにきってもらっていたが、その拓也もいなくなり(帰国直後)髪を切ってもらうことができなくなって困っていたときに、ママンに誘われて切ってもらったのが最初で、これで二回目。家に来てくれるというのがラクチンでよい。

石積み生活後、初の金曜日だったので誰かと呑みたかったい気分でいっぱいだったのだが、この機会を逃すと次がいつになるかわからんので、ぐっと堪えることにした。

おいらのほかに、いとこ、叔母さん、うちのお客さん、その娘さんと大量の予定者がいたため、2時から我が家で開始したらしい臨時美容院も、おいらが帰ってきた6時半の時点でも一人待ちの状態であった。

ところで、おいらはこの美容師さんにえらく気に入られている。美容師さんは男だ。男。40歳を超えていると思われる。あるいはもっと上か?その褒め方は男が男を褒めるような褒め方でないため、ママンは大爆笑で、おいらはここでもまたポルトガルの一件を思い出し、背筋に冷たいものを感じるのだが、屈託なく、また堂々と褒めてくるので、何も言えずただただ苦笑するだけしかできない。彼もおいらのヒゲがなくなって残念らしい。大いに賛同したいところなのだが、やっぱり背筋が冷たくなる。

前髪や襟足を整えるくらいだったら「おまけ」(無料)でやってくれるという申し出でうけ、ありがたく受けようと思っていたのだが、その好待遇に疑問をいだいていると、「ここ最近で一番お気に入りのメンズですからね・・・」と言わる。

メ、メンズ??なぜ横文字?なぜ複数形?

付け足すように「いや〜自分できっておいて何ですけど、その前髪のぱさ〜っとした感じ・・・いや〜いいですね〜」。

おいらの場合は、髪は常に濡れていないとダメらしい。風呂上がりはバサバサバサッ!とやって、そのままにしておくと良いらしい。それがセクシーらしい。

はからずもおいらは出石積み前に風呂に入って、濡れたまま家を出る。なぜなら、髪が細いおいらは、ドライヤーなんぞつかわんでも、あっという間に乾くから。でも、なんか、嫌いなドライヤー使おうかな〜って思い始めている今日この頃だ。


一応、今日の石積みについても書いておこう。

昼過ぎあたりから、後ろで「プシュ〜プシュ〜!」と音がする。空気入れを使っているような音。環境的にはあり得ない音なので、後ろを振り向くと、ノートPCの画面にスプレー缶みたいのを吹きかけている。その後、なにやら薄い板状のものを貼り付けている。どうも、ディスプレイのゴミに空気を吹き付けて綺麗にし、その上からノートPC用のディスプレイフィルタを貼り付けているようだった。

次回の打ち合わせまで「締め切りなし」のおいらの石はすでに4日目に突入して慣れてきたため、あいかわらずチマチマした作業ではあるが、エラク楽になってきている。「こんなんで金もらっていいのか?」と思うほどである。その作業の合間に、たまに投げられる臨時の石も、かなり小粒の・・・いってしまえば礫(つぶて)みたいな石で、もらって5分後には終わってしまうようなものばかり。

そして、後ろではプシュ〜!プシュ〜!の音。夕方からは前からもプシュ〜!プシュ〜!。周りで取り交わされる会話の内容もヒリついた感じは全くなく、もうその光景は牧歌的と言ってしまってもいいくらいだ。

ぬるい。ぬるすぎる。でも、こういう石積み場に就職したら、自分の時間もとれるし最高の環境なんだろうな〜とも思う。なんか雰囲気的には給料高そうなだし。福利厚生とかもしっかりしてそうだし。ボーナスとかもがっつりでそうだし。

まぁ、おいらの見えないところで、ひりついているのかもしれないが・・・。

社会人生活について研究していた時、友達よっては「むちゃくちゃ忙しいよ!毎日終電だし・・・」という人間がいたり、「仕事楽だよ〜残業もほとんどないしね〜」という人間がいたりと、ほんといろいろなことを聞いたが、この石積み場に入って、なんとなく理解できた気がする。やっぱり比較って大事だ。


朋美嬢から「鉄コン筋クリート、最高に面白かった!」というメールをもらい、そういえば、レンタル開始になったんだった・・・と早速借りてきて鑑賞。明日呑むのでそのときの会話のタネにもなりそうだったし。


鉄コン筋クリート

鉄コン筋クリート

【点数】3.4点(5点満点)

【制作年】2006年 【制作国】日本 【監督】松本大洋 【公式サイト】こちら
【声優】二宮和也蒼井優伊勢谷友介宮藤官九郎田中泯西村知道

【感想】
元となるのは1993-1994年でスピリッツでやっていた同名の漫画。松本大洋出世作となるらしい。

松本大洋というと、かつて(高校時代)はちょっとバカにしていた。バカにしていたといっても、松本大洋をバカにしていたわけではなく、雑誌とかで自称アート系の輩がこぞって「最高!」というので、天の邪鬼なおいらは「ふん・・」だと思っていたわけだ。良く映画とかでもTimesとか有名な芸能人のコメントなんかを予告とか広告に載せ、さもすごそうにみせる手法があるが、たいていあ〜いうのは外れるどころか、映画自体が最悪だったり、自分の感覚とあまりにずれていることが多いため(例:「靴に恋して」なんて、映画は大好きだが、宣伝文やコメントはもう勘違いも甚だしいとしか思えない)、どうせどの類でしょ・・・と思っていたわけだ。

だけど、ひょんなことから実写映画の方の「ピンポン」を見ることになったのだが・・・それに感動してしまったわけだ。期待していなかっただけに、その感動は大きかった。というのも、おいらは「男の友情モノ映画」にはめっぽう弱かったりする。ピンポンはベタな作りではあるのだが、とても良くできていて、ついつい何度も見てしまう作品であった。

ってことで、若気の至り的偏見はなくなり、今は何の抵抗もなく松本大洋の作品をみることができるようになった。現在もスピリッツでやっている「竹光侍」もかなり好きな作品だ。あのゆる〜い感じのストーリは、おいらの好きな江戸時代というところが劇背景なのもあって、おいらのツボにはまった。

で、感想。

宝町という、タイと台湾と香港と昭和前期の日本を足してごちゃ混ぜにしたような、いってしまえば雑然としたド派手な街並をした小さな街が舞台。クロとシロという、その街を根城にしている2人の子供と、その街を自分のモノにしようとするヤクザ、それと手を組む暗殺団、でもって刑事・・・たちが三つ巴(四つ巴ともいえる)となって、宝町を舞台に抗争を繰り広げる。で、同時にクロとシロの関係(友情?)も描き出すって感じのストーリー。

映像は恐ろしく綺麗。今のアニメの手法がどういうものか、素人なおいらには全くわからないのだが、背景は実写を何らかのフィルタで加工して作っているんだろう。「すっげ〜苦労したんだろうな〜」と思うのは、色彩。漫画はカラーな部分もあるとはいえ、ほとんどは白黒なはず。それをあそこまでバランスのとれた色でまとめるのは並大抵のことではないだろう。おいらなんて、簡単なWEBのデザインするだけなのに、色でむちゃくちゃ悩まされるし・・・そもそも色彩の勉強なんてしてないから、基本さえも知らん。

映像は嫌いなのだが、キャラまで綺麗になりすぎていて、特にシロなんかは、かわいいキャラになってしまっているのが原作を見た人間だったら文句をいいそうなところ。漫画の方はもっと不貞不貞しい顔をしている。ただ、アニメの方のシロが好き・・・ということもありそう。特に女の子は。

あと、びっくりしたのが声優。二宮なにがしってジャニーズでしょ?いや〜すごいよ、彼。声優旨いよ。勝手に「ジャニーズだし〜」と思っていたけど、謝ります。あいすまぬ・・・。蒼井ゆう(最近結婚した個性的な顔した宮崎あおいといつもごっちゃになる。今も名前でてこなかったし)も、これまた偏見が邪魔していたのだけど、上手。なんとなく「クレヨンしんちゃん」を彷彿させる感じなのだが、思わず真似をしたくなってしまう感じ。

ストーリーの方は、原作でも省いた部分が多いのか、伏線なしで登場人物がでてきたりもするので、これまた原作ファンには厳しいかもしれない。おいらも見ていて「え?なんで?」となることが多かった。

アニメならではのメリットもあったと思う。今回の表現が好きか嫌いかはわかれそうだが、クロやシロの精神世界を表現するのには、アニメは悪くなかったと思う。ちょっと騒々しいとも思えるのだが・・・。

面白かったのだが、点数が3.4点と高いのか低いのかわからないような中途半端な点数なのは、この手の「心の奥の世界」を描いた、まったく似たような映画をみたことあるから。ただ、なんの映画だったのか全く思い出せないので、困っている。でも、ホントそっくりなのだ。足りない部分を補うとか、光と闇とか。なんだったけかな〜。

次は前々からみたかった「パプリカ」を借りてきてみようと思う。


追記
昨夜、滅多にならないおいらの電話がなったかと思うと、酔っぱらた友人からの電話だった。「どこにいるのよ?」と聞くたびに、場所が変わるくらい酔っぱらい。「終電なくなったから送ってって」という電話かと思ったが、終電はまだあるという。「じゃ〜なによ?」と聞くと、「呑むぞ!」と返ってきた。なんか、つらいことがあったのか、愚痴なり相談なり、話したいネタがあるようだった。

布団に入って寝かけた、夜の1時である。電車なんぞあるわけない。だが、金払うからタクシーで来いという。「明日会社だし・・・」というひよった気持ちと、「呑みの誘いは断ってはいかん・・・」という侠気がせめぎ合ったが、途中からでてきた「眠気」が勝った。というか、「金払う」というが、目的地までタクシーのったら1万5千円とかいきそうな距離。タクシーに乗らないからわからないが、もしかしたら2万を超えるんじゃないかとも思った。酔っぱらってるから強気になっているが、他人の車代に2万も払って、酔いが覚めたときに後悔されても困る。「おいらは眠いから絶対寝ちゃうけど、それでもいいなら途中まで来るなら迎えに行く・・・」という提案もしたが、「寝る」といわれて来るはずもなく・・・・途中で諦めたようだ。次回呑んだときに、なじられそうで怖い・・・。